似た者同士依存し合ってる2人に本当の愛を見つけ出してもらうために動いたちよこと大介。
ちよこ 「気づいてくれるかな?永澤先輩…。」
大介 「きっと大丈夫だろ。」
―本当の恋を知らぬ間に恋を強要されざるを得なくなってしまった庵と
本物の愛を知らぬ間に独占欲だけが増し愛を束縛するようになってしまった茉莉花―
茉莉花 「あっちょっと!」
ちよこ 「永澤先輩!」
茉莉花 「ねぇこの前のことどうなったのよ!」
ちよこ 「それはぁ…先輩が気づいくれないと」
茉莉花 「はぁ?」
ちよこ 「一緒に考える!とは言ってませんし。ひとつはもう伝えたつもりですから…。」
強きに強気に。この前の何気ないあの温もりに気づいて!!
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茉莉花 「何なのよ!…あの子にあって私にないもの…?」
華? 年下? どんくささ?
茉莉花 「うあーもう全然わかんないから!」
「…なんか最近、茉莉花変じゃね?」 「放っとこ。」
取り巻きたちはそっと茉莉花から距離を置いて行った。
…友達?
茉莉花 「じゃあなんであの子…。」
私になくて、あの子にあるもの…!
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月日は流れ、新しい年を迎えていた。
そして街はもうバレンタイン商戦一色となっていた。
ちよこ 「ばぁちゃま!うちもバレンタイン商品を考えてみたらどうかな?」
ゆり子 「おっ!時期社長また新しいこと考えたのね♪」
まち 「今度はチョコレートと団子のコラボかい?」
ピーン!
ちよこ 「チョコレートお団子フォンデュ!!」
ゆり子 「それで、ちよちゃんはバレンタインどうするの?」
ちよこ 「えっ?」
今まで好きな人も友達さえもいなかった私にバレンタインは無縁のイベントだった。
ゆり子 「バレンタインは好きな人に気持ちを伝える日よ?」
ちよこ 「でも私、もう庵先輩のことは…。」
ゆり子 「バレンタインだけは特別な日だと思うよ?今までの気持ちぶつけるだけぶつけたらどう!?」
気持ちを伝える…。よし!
ゆり子 「うちの大介にもー...なんてね。あらいない…。」
運命のバレンタインデー当日――。
「俺のチョコは?」 「はー?ないよそんなん!」
クラス中の男子が浮足立ってる。
「ちよこ!チョコは?」
「ちよこのチョコとか超気になんだけど!」
ちよこ 「えっとーこんなんなんだけどよければ!!」
不器用なチョコレートをクラスメートに配るちよこ。
それをわざと見ないようにしている大介に気づいたちよこ。
ちよこ 「はい。これ。大介の分!」
恥ずかしそうに目を合わせられないちよこ。
大介 「なんだよこれ。今までくれなかったのによ!」
ちよこ 「何よ!いらないならいいのよ!?」
大介 「いるよ!」
取り返そうとするちよこに身長さを利用して取り返されまいとする大介を見ていたクラスメートたち。
ヒューヒュー
「仲のいいことで!」
「やっぱり2人って…ねぇ!」
大介 「なっなんだよ!?」
ちよこ 「…?」
ちよこだけはまだ気づかぬ鈍感さなのであった…。
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いつもとは違う茉莉花の姿がそこにはあった。
庵 「茉莉花?」
茉莉花 「庵。今までごめんね。」
庵 「何が?」
私にないものそれは――
茉莉花 「私は庵が本当に好きなのに、それなのに私…庵を苦しめてた。」
“素直な心”と“純粋な愛。”
庵 「茉莉花…。」
茉莉花 「私たち、最初からやり直すこと出来ないかな?」
庵 「…出来るよ。出会った頃に戻ろう。」
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どうしよう…。庵先輩に渡すチョコ。
大介 「それ…先輩に?」
ちよこ 「うん。でも永澤先輩に悪いかなって何を今更感あるよね…。」
大介 「行けよ!」
それで先輩の思いを断ち切れるなら…。
ちよこが先輩の元へたどり着いた時には
茉莉花の愛が込められたチョコを渡そうとしているところだった。
よかった。永澤先輩気づいてくれたんだ…。
この中に私が踏み入ることはもう出来ない。
先輩から背を向け歩きだそうとしていたちよこに気づいた茉莉花。
茉莉花 「ちょっと待ちなさいよ!」
ちよこ 「えっ?」
茉莉花 「あなたには感謝してる。それ庵のでしょ?」
ちよこ 「あっ…でも。」
茉莉花 「ちよこは私のほんとの友達になったんだから特別に許すわよ!」
ちよこ 「友…達?」
茉莉花 「ほら!ちよこがチョコ共食いする気?」
ちよこ 「はい!」
なんだか可笑しな状況になってしまったけどこれはこれで私っぽくていいのかも。
ちよこ 「庵先輩!私は、出会った頃から先輩のことが好きでした。私の初恋になってくれてありがとうございました!!」
庵 「ありがとうちよこちゃん。でももうちよこちゃんにも大切な人がいるよね。」
ちよこ 「へっ?」
庵 「惑わせるようなことしてごめんね。いつも一番近くにいるでしょ?」
―いつも一緒にいると相手が自分にとってどんな存在なのかわかんなくなるよね―
「やっぱり2人って…ねぇ。」
ちよこ 「あっ…。」
いっつも一緒にいて気づかなかった。
私は居ても立ってもいられず走り出していた。
どこかで掛け違えたボタンが元通りになるみたいに――
嬉しい時も悲しい時もいつも隣にいた。
口を開けば悪口ばかりで不器用なあいつ…
ちよこ 「大介!」
大介 「ちよこ…」
ちよこ 「バカ!」
大介 「はっ?開口一番それかよ。」
ちよこ 「違う。バカは私。全く大介の気持ちに気づかなかった!」
ちよこ…。
大介 「…俺はちよこが好きだ!!」
“ずっと好きだった。”
幼なじみから恋人に変わる時――4人の
こんがらがった糸が今やっと解けたんだ。
はじめての恋をしてはじめての失恋をして、いろんな遠回りをしたけれどこんなにも近くにあったんだ。
私のはじめてのバレンタインデーは想像も出来ないくらい特別なものになっていた。
. . .
これが私の恋するチヨコレート__♡
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!