私の前に悪魔が……いや、天使が現れたのは……
15歳の夏でした。
やっと、夏休み……
あたしはバカだから人一倍勉強頑張らなきゃ受験やばいかも……。
教室でバカ騒ぎしてる奴とも、
学年の天才児とも、
教室という名の監獄ともしばらくお別れ………
よっしゃあ!(๑•̀ㅁ•́๑)✧
………受験勉強、やだなぁ……
大人になんてなりたくない。
大人になるのが怖い。
だって、大人は……
汚いから。
でも、もう、手遅れかも。
だって、あたしも汚いから。
赤石玲奈(あかいしれいな)。
世界の汚さを知っています。
放課後、いじめを受けている人を見た事があります。
ひとつ下の学年の子でした。
『ごめんなさい』
そう思いながら通り過ぎました。
毎日生きていることに疲れて泣いてしまったことがあります。
できれば人と話したくないです。
話題を振らないでほしい。
そう思って人間関係から逃げたことがあります。
まだ15歳。
まだ子供なのに。
あの日いじめられていた子は先生から見て見ぬふりをされていた。
私と同じように泣いていた子を大人はほっといた。
人間関係につまずいている人を大人は冷たい目で見ていた。
そんな世界を知っています。
中学1年生。
友達が大好きでした。
友達が増えるたびに嬉しかった。
でも、友達の黒い所を見ると、何が正解かわからなくなりました。
中学2年生。
生まれて初めていじめの残酷さを知りました。
友達の悪事を知り、裏切られたような気分になりました。
いじめられている子を見ながら泣いていることを隠すのに精一杯でした。
中学3年生。
死にたいと思った。
無視される辛さをしりました。
友達から無視されるのは辛かったです。
何で無視されるかわからなかったから。
それは、私がバカだから?
だから、今日は終業式が終わったあと、教室に戻らずにサボりました。
このときサボったことが私の運命の分かれ道になっていたなんて、シロと出会って初めて気がついた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!