あなた。
私の名前を優しく呼んでくれる存在がある。
今日、私は彼と式を挙げる。
大好きな彼と同じ苗字になって、同じものを食べるようになって。
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その笑顔は俺が守ると決めたから。
『健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?』
『健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?』
『それでは、誓いのキスを。』
そっとベールがめくられる。
ゆっくりと瞬きをすれば、大好きな君が目の前にいて。
龍我、私と出会ってくれてありがとう。
愛してる。
その気持ちを込めて、私たちは口付けを交わした。
君とだからできたこと。end
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!