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紫耀side
この子、
ここでスヤスヤ眠ってる日向あなた、
さっきの…
聞き間違いでは…ない………はず
遡ること5分前、
「大好き」
と、まぁまぁハッキリと仰ったあなたさん。
そしてそのまま……多分、寝た………
いや、もしかしてずっと寝てたのでは?
待て待て、それじゃ"大好き"も寝言ってことに…
それはそれで勿体ないような……
でも告白はやっぱ俺からしたいし……
嫌々、そもそもあれは告白なのか?
………云々
と、考えること5分
あなた「…ん〜………しょ……く…ん…」
紫耀「!?」
名前を呼ばれた気がして我に帰った
紫耀「…呼んだ?」
あなた「……」
紫耀「寝言……?」
掴まれたと思った手は、繋がれたまま
解こうと思えばいつでも解ける
が、俺はあえてその手を解かなかった
帰らない口実にでもしよう
などと調子の良いことを考えていた
もう少し、あなたの側に居たいだけだから────
.
.
.
どれくらい時間が経ったのか、
気づくとカーテンの隙間から太陽の光が差し込んできた
あなた「ん……」
紫耀「あなた?」
あなた「…?紫耀くん……?」
紫耀「そうだよ、大丈夫?」
あなた「ここ…家……?」
────
あなたside
あなた「ここ…家……?」
紫耀「うん」
そう、ここは私の家だ
紫耀くんがいる……なんでだっけ……?
あぁ…まだ頭痛いな………
あなた「紫耀くん、お仕事は…?」
紫耀「……(笑)」
あなた「??」
紫耀「いや、オフだよ(笑)」
あなた「そっか、よかった」
あなた(そういえば昨日オフって聞いたような…)
紫耀「もしかして昨日のこと覚えてない?」
あなた「…分からない」
紫耀「そっか、まぁ今はゆっくり休も?」
ふと手が温かく感じた
あなた「ずっと手繋いでてくれたの?」
紫耀「あ、うん」
紫耀「繋いできたのはあなただけどね(笑)」
あなた「…そうだっけ?」
紫耀「俺メンバーに連絡してくる……」
あなた「あ、待って…」
あなた「もうちょっと…このままが……いいんだけど………」
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。