°
あなたside
分かってはいたはずだけど
やはり彼らはアイドルで、
どこにいても人の目がある
紫耀くんの"彼女"になるのはもっと大変なこと…
カシャ
あなた(え…)
シャッター音のようなものが聞こえた気がした
あなた(気のせい?)
アイスを取ってお会計を済ませ、店を出ようとすると
ガラスに反射して見覚えのある子たちが映っていた
あなた(さっきの子達……私、つけられてる……)
このまま、真っ直ぐシェアハウスに帰るわけにはいかない
どうしようかと思考を巡らせていると
電話が鳴った
表示は…紫耀くん
咄嗟に思いついた
あなた「はい、日向です」
紫耀『え、俺だよ?しょうだよ』
あなた「平野くん?どうしたの?」
紫耀『うん平野くんだけど…仕事終わったから帰るねー』
あなた「今どこ?」
紫耀『事務所、てかどうしたの?』
あなた「15分で着くからそこにいてもらえる?お願い」
紫耀『いいけど…』
あなた「ありがとう」
紫耀『え、来るの?』
あなた「うん、タクシー乗ったらかけ直す、後でね」
.
.
.
あなた(ちょっと強引だったかな…)
スマホを鏡にして背後を確認すると
女の子達はまだ物陰に隠れていた
あなた(…私の存在、気になるんだろうな)
確かに私みたいな普通の女が
人気アイドル2人とスーパーで一緒にいれば怪しいかも…
下手な尾行に気づいていない振りをして、
近くのタクシーを止めた
運転手さん「どちらまで行かれますか?」
あなた「ジャニーズ事務所までお願いします」
°
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。