第65話

65
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2020/09/13 00:00
°



あなたside





帰り道、海沿いを運転中、紫耀くんは言った




紫耀「助手席、今日だけな」




あなた「!?!?!?」




.
.
.




あなた「そういえば、変だと思ったんだよね」


紫耀「ん?」


あなた「『助手席乗って』なんて初めてだった」


紫耀「女の子初めて乗ってるもん」


あなた「歴代彼女は?」


紫耀「そこには座ったことない」

紫耀「あなたが初めて」


あなた「…あ……痛い………」


紫耀「どこ?大丈夫?」


あなた「心臓…てか冷静になんないで!」

あなた「こっちは心臓飛び跳ね回ってんだから…」


紫耀「あ、ギュンってしたの?」


あなた「そうだよ………」


紫耀「そっちかーよかった」


あなた「寿命縮まりそうなくらい跳ねてんのよ?」


紫耀「縮まるの!!?」


あなた「いや縮まんけど(笑)」


紫耀「なんだ、焦るじゃん」


あなた(分かるよ普通は……)


紫耀「てか、ギュンって何?キュン?」


あなた「紫耀くんはキュンを超えてくるの」


紫耀「?」


あなた「紫耀くんはキュンしないの?」


紫耀「ん〜」

紫耀(する)


あなた「ギュンもしないの?」


紫耀「ん〜〜」

紫耀(するけど言ってやんない)


あなた「えっ、好き?」


紫耀「とても好き」


あなた「はぁ…好き」


紫耀「え?」


あなた「…あ、まぁそれは置いといて」

あなた「なんかないのかな〜キュンみたいなこと」


紫耀「…あ」


あなた「??」


紫耀「触れたい」


あなた「ふれ…?」

あなた(!!!!)

あなた「えっち!」


紫耀「(爆笑)」


あなた「紫耀くん、左手貸して」


紫耀「…?はい」


あなた「はい」




紫耀くんの左手に、私の右手を重ねた




紫耀「…//」


あなた「…お?」



ちょっと…照れてくれてる…?



紫耀「…可愛いなぁと思って」


あなた「……///」



照れさせる作戦、引き分け



あなた「帰り着くまで繋いでよっと」


紫耀「言ったな、離すなよ(笑)」


あなた「離さない!!」




ギュってすると

ギュって握り返される




幸せ────








あなた「助手席、最後だから堪能しないと」

紫耀「最後?」

あなた「だって今日だけでしょ」

紫耀「あー、うん、今んとこはね」

あなた「……どういう…意味…?」

紫耀「さぁ〜😎」





聞いたけど、その答えを想像して

口元が緩んでしまいそうになるのを堪えた





まだ、帰り着きたくない




ずっと一緒に、この席に、いたい






今はただ、そう思った






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