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紫耀side
(#60 紫耀side ver.)
俺はその日、あなたを迎えに家まで行った
電話で「すぐに来る」と言ったあなたは中々来なかった
紫耀(遅い……早く会いたい………)
紫耀「てか夕陽沈むじゃん!!!!」
.
.
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ガチャッ
あなたが来たのは、30分後だった
紫耀「あなた?」
あなた「紫耀くん…」
紫耀(……!?)
後部座席に乗ってきたあなたの方を
「遅かったね」と振り向くと、
なぜか、泣いていた
あなた「待たせちゃってごめんね…ほんとに…ごめん……」
いや、そんなことどうでもいい
紫耀「なんで泣いてんの…?」
そう聞くと、「は?」みたいな顔をしてくる
まさか気付いてないんですか
あなた「……ほんと…」
あなた「なんで……?」
紫耀「…?逆になんで…?」
さっきの電話までは普通だった
まさかこの短時間で何かあったとか……
えぇ、何だ…………?
あなた「紫耀くん………会いたかった……」
紫耀「会えてるよ?(笑)」
泣きながら突然可愛いあなたさん(20)
あなた「な…泣く…待っ……無理…(号泣)」
紫耀「えっ!何で!?」
泣く宣言をした後、そのまま号泣
何が何だか分からない俺はあたふた
とにかく急いで後部座席へ回り、あなたの手を握ってオロオロしていた
そして数分後、泣き止んだ
「なんかあったの?」と聞くと、
「今度話す」だそう
.
.
.
紫耀「落ち着いた?」
あなた「うん、ありがとう」
紫耀「どーいたしまして」
あなた「……紫耀くんが、一番好き」
紫耀「!?」
突然可愛いあなたさん(20)(再)
あなた「安心するし、一緒にいたい」
紫耀「急じゃん(笑)」
あなた「急じゃないよ、わりと毎日思ってる(笑)」
紫耀「……」
あなた「…?」
なんか、ふと、思った────
あなたに側にいてほしいと誰よりも思ってる癖に
あなたが俺から離れられる機会を与えていたこと
それは、あなたの
"一緒にいたい"
と思ってくれている気持ちを
大切にできていなかった
俺は、あなたのこと
信じていなかったも同然………
あなたは、こんなに真っ直ぐなのに────
あなた「紫耀くん?どうしたの?」
あなた「なに!?もしかして引いちゃった!!?」
紫耀「えっ、何が??」
あなた「やだ!嫌わないで!!」
そんなことあるわけない
思わず笑いが込み上げた
あなた「…え……はぁ?(笑)」
早く伝えよう
仕事とか、立場とか、世論とか、
確かに俺にとっては大事なこと
同じくらい
いや、それ以上に、
あなたが大切
いつからかは分からないけど
それがずっと変わらない気持ちになっていた
きっと、これからも
紫耀「ね、助手席乗って?」
あなた「助手席?なんで?」
紫耀「いいから」
他の誰かといる未来なんて考えられない
あなたにも、そんな未来があってほしくない
俺が幸せにする────
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。