稽古場所につくと着替えさせられた。何だか恥ずかしい格好だった。他の人たちも同じ格好をさせられていた。「二人は、始めだから説明するね!まず曲にあわせて踊って、次に開脚とかいろいろして体を柔らかくさせるよー」と蜜璃さんが言った。その説明を聞いていた他の人たちは、地獄を見たような顔をしていた。曲にあわせて踊ったのは全然楽だったが次が問題だった。柔軟と言うより、力技で無理矢理柔らかくさているだけにしかみえた。柔軟が終わった後体中が痛かった。それから5日たった頃だった。夜廊下を歩いていたら窓から月明かりが見えたそれはとても眩しかった太陽のように光輝く満月だった。そんな夜空を見ていたら急に翡翠ちゃんに借りていた手拭いを返し忘れていることに気づいた。今から返しに行こうと長い廊下を月明かりに照らされていた場所から月明かりの届かない暗闇に足元を運んでいた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!