「翡翠ちゃんの部屋はここかな?入るよ?」ノックをして入った障子が張ってある木造の扉で外はとても暗いのに部屋に光が灯っていなかった。もう寝ているのかなとも思ったがまだ夜の八時だったから起きているだろうとも思った。部屋の扉をゆっくり開けると翡翠ちゃんが部屋の端っこに座っていた。「何してるの?こんな暗い部屋で?…」と聞いたが返事がかえってこない。心配になり、肩をポンポン叩いてみた。すると翡翠ちゃんの奥にはありえない景色が見えた。人間のはずの翡翠ちゃんが手には人の血が大量についていて口元には人を喰らったようなあとの血がつき人が変わり果てた姿になっていた。その人たちからは、音がしなかった。俺は声が出なかった恐怖という物に体が押し潰され足は泥にはまったかのように上手く動かせなかった。今蜜璃さんの言葉を思い出した。「そう言えば翡翠って、災害や不運から守る力がある石だよね~」翡翠ちゃんが「そうです。私が産まれてくるまで不幸の連続で命も危なかったことがあったらしく、それで私が不幸にならないよう翡翠と名付けたそうです」とそんな会話を思い出した。まさかその不幸がこんなことに?そんな考えが頭をよぎった。でも鬼であるからには首を斬らなくてはならなかった。俺はそんなことが出来るのかと思い始めた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。