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第1話

『 きみへのメロディー 』
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2019/05/16 08:23
☆0☆








〜〜〜♪〜♪〜♪〜

        旋律に乗せた言葉は…魔法だ。

                                〜♪〜♪〜♪〜〜〜








☆1☆



彼女がいると知ってから…

私は、彼と距離を置く事にした。



親「元気 出しな!」


親友は、そう言うけど…
元気 出してどうするの?



このあいだの日曜日。
近くのモールのアクセサリーショップで、
偶然、見かけてしまった。


彼女と思われる女の子と彼が、
楽しそうに…


私…結構 上手くいってそうだったのにな…

読みは外れてしまった。



いつもと違って、話しかけてこない私を、
彼は変に思ったのか…


神「どぉない〜したんっ?(笑)」


ワザワザ隣の教室から、
いつもと変わらない笑顔で話しかけてくる。


〇「なんでもない…」


今は、触れて欲しく無いんだよ…

そんな気持ちも知らないで、
前の席に こっち向きで座ってくる。


神「なんかあったなら、話してや。」


その態度に、イラッとしてしまった。






☆2☆


〇「好きな人に彼女がいたの!ほっといてっ!」


彼はまるで、自分が傷ついた様な顔をしていた。


神「・・・好きなヤツ居ったんか…」


そう言うと、いなくなった。


なに?
私は人を好きにならないとでも思ってたの?

イライラが募っていった。



想いを伝えられずに、終わってしまった恋は、どうしたらイイの?





先週までは、ウキウキしていた。

だって…


神「彼氏から誕生日プレゼントもらうなら、なにがええ?」


なんて、聞いてくるんだもん。
そんなの、勘違いするなって方が間違ってるよ!

あの彼女へのプレゼントの事だったのか…



もぉ〜どぉでもイイや…


親「〇〇?カラオケでも行くか?」

〇「う〜ん?」


私はこの怒りを、どこかに ぶつけたかった。


〇「行く!」



なんて、言わなきゃ良かった…






☆3☆

親「ねぇ〜シゲ〜あれ歌ってぇ〜」

シ「オッケー!お前らーッ!タオル出せーッ!」


リア充達の大暴れに 巻き込まれた。


♪あがっちゃってこ!イェイッ!
      さわいじゃってこ!イェイッ!♪


新「〇〇も、タオル回して!」


んもぉぉぉぉ〜〜
しゃーないなぁーッ!


シ「行きまっせーーーーッ!ブンブンブブ〜ンブ〜ン!」

「「ブンブ〜ン!♪♪」」

シ「とぉ〜んでとんで!ブンブンブブ〜ンブ〜ン!」

「「ブンブ〜ン!♪♪」」



やっぱり…
来て良かった。

私はライブさながら、はしゃいだ。

親友って良いもんだな。
なんて、勝手だけど 思った。







シ「神ちゃんに彼女が?まさかぁ〜」


親友の彼氏のシゲは、彼と同じクラス。


〇「だって見たんだもん…」

シ「見ただけやろ?」


思い出したくも無かった。






☆4☆

〇「楽しそうにしてたもん…」

シ「どんな風にや?」

〇「なんか…寄り添ってた感じ…」

シ「手は?繋いどった?」

〇「う〜ん??分かんない…」

シ「なんでや?見たんやろ?」

〇「そんな事 言ったって ショックで…ずっとなんて見てられなかったんだもん…」


私は、どんどん テンションを下げられ、
やっぱり、来なきゃ良かったと思っていた。






次の日。


神「〇〇?あのさ…」


朝から彼に話しかけられ、


〇「なに?なんか用?!」


と、冷たく返してしまった。


好きな人と距離を置こうとしてる人に、
そんな簡単に話しかけて欲しくなかった。

でも彼は、そんな私の気持ちなんて、知るはずもない。


神「放課後さ…」


その上、


神「音楽室に来て。」


訳も分からない誘い。


神「待っとるから。」


なんで、そんな事 言うのよ…


〇「ごめん、行かない。」


彼はうつむいた。






☆5☆


神「でも俺…ずっと待っとるから。」


と、真剣な眼差しで、私を見つめた。

そのうち、顔を真っ赤にして、隣の教室へ戻って行った。


涙が溢れた。


バカッ!!!バカッ!!!
神ちゃんなんて!!!




もう……………………










大っ嫌いッ!!!!!!









私は心の中で、嘘をついた。

自分をかばう為に…







☆6☆


放課後。
そそくさと帰ろうとする私を、引き止めた人がいた。


シ「神ちゃん 待っとるんやろ?」

〇「えっ?!!!なんで…」


なんで、知ってるの?


親「ごめんね、私…〇〇と神ちゃんの朝の会話、聞いてたの。」

シ「ええんか?後悔するぞ。」

〇「だって…」


だって…
私だって…行きたいよ…


心で「大っ嫌い!」って言っちゃうほど…












大好きだから…







でも…
怖い…





〇「彼女いる人に呼ばれて行ったって、傷つくだけじゃん!!!辛いのヤなの!!!」

親「じゃあ、なんで泣いてたのよ!好きだからでしょ?!伝えてあげなよ、好きな気持ち。じゃないと……その恋、迷子になっちゃう…でしょ?」


言い終わる頃には、私のかわりに泣いていた。


親友って、いいもんだな…
また勝手に、そう思った私は、

親友の言葉に背中を押された。


〇「分かった。」


私は、この恋を ちゃんと終わらせる為に、
決意した。







☆7☆


…『神ちゃんなんて大っ嫌い!!!』
そう言うんだ…

音楽室まで、心の中で何度もイメトレした。



心臓の音が 早まる。



ドアに伸ばす手が 震える。



ふと聞こえた ピアノの音…




私は その音に吸い込まれ、
グランドピアノを叩く 彼の隣に座った。





この曲…






一週間前。

神「彼氏から誕生日プレゼントもらうなら、なにがええ?」

〇「う〜ん?身につけるものがイイかなぁ〜?ネックレスとか!」

神「〇〇の、一番好きな曲って何?」

〇「私は〜WESTの〜」







あの時…私が答えた…









『きみへのメロディー』






☆8☆


♪〜好きだよ ねぇ好きだよ 君のことが
              一言が言えずにいたけど…
          いまほら 全てを伝えよう
                  かけがえのない人へ…

    あきれるくらいの きみへのメロディー
              ふたりなら奏でられるはず…
              一緒にまた歩んで行きたい
      この手は握ったままで 離さないから〜♪









彼の歌声は、とても透き通っていて…









止まらない…









涙も、
好きも…







でも…
うつむいて泣く事しか出来ない。










神「すきだよ。」









〇「・・・えっ?」










時が止まった。










いま…なんて?








☆9☆




神「やから…」





彼は体をこっちへ向け…






神「好きだよ。」










チュッ!











〇「・・・え…」





そのまま、私は抱きしめられた。

突然の事で、頭が回らない。
けど、顔が赤くなっていくのは分かった。






神「彼女おるヤツなんて忘れろ。





_____俺の傍に居ろよ。な?」









彼の言葉に、また涙が溢れた。


私が、彼の胸で 小さくうなずくと、






ギュッと強く 抱きしめ返された。








☆10☆


〇「ねぇ、神ちゃん?」

神「ん?」


やっと顔を上げた私の言葉を聞きながら、
彼は涙を拭ってくれた。


〇「私も…」

神「え?」


困り眉になって、顔を覗き込む彼は、
とっても可愛い。


〇「2番も聞きたいな(笑)」

神「…ええよぉ〜(笑)」





彼の歌声は とても透き通っていて…

私の心の中に、染み込んでいった。

『大っ嫌い!』なんて、少しも考えなくなり、
彼が歌う『すきだよ。』で溢れていった。

それはまるで、魔法のようだった。









全てが愛おしくて守りたい。








私の全てで。








『ねぇ…すきだよ。』




                                        ☆fin.☆

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