【太陽の女神様side】
目を開けると、真っ青な大空が視界に入る。
……どうやら、いつのまにか寝てしまったみたいだ。
体を起こし背伸びをして、まわりを見渡してみる。
周りを見渡しても、私の大切な妹、月はどこにもいない。
心臓がドクドク、加速してきた。
どうしよう……。月に何かあったんじゃ…!
その時、私の心配をよそに、能天気な明るい声が聞こえた。
私は思わず、思いっきり月に抱きつき、泣き叫んだ。
良かった…!心から安堵し、月をぎゅうぅっと抱きしめる。
月に全力で引き剥がされ、仕方なく離れる。
やめて、そんな目で見ないで?
その時、月が何かを持っていることに気づいた。
月はハッと思い出したように呟き、急におどおど、恥ずかしそうにする。
可愛い。(真顔)
恥ずかしそうにそう言って、私へ……
小さな花冠を差し出す。
それはボロボロで、花びらが何枚か落ちてしまった、不器用で、しかし、月が一生懸命作ってくれた、可愛いユリの花冠……
私の頬を、一粒の涙が流れた。
言葉に出来ないほどの愛が溢れて、とめられない。
何百年、一緒に喧嘩して、泣いて、ぶつかり合っても、愛は、永遠に消えることはない。
月、本当に、本当に………
精一杯の笑顔で顔をあげると、そこには…
私と同じ様に、涙で顔を濡らし、笑顔でいっぱいの月の姿が見えた。
そうして私達は、青空の下、笑顔で約束を交わした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!