目覚めると俺はあなたの母さんの腕の中にいた。
お母さんの目は真っ赤に腫れていた。
俺とお母さんは今、病院の廊下にいる。
目の前には大きな扉とその上に赤く点灯している応急処置の文字。
すると、
ドタドタドタドタドタドタドタ
慌てたようにるぅとと、そのお父さんが走ってきた。
るぅとの整った顔には、いつもの爽やかな笑顔はなく、
不安や恐怖で埋め尽くされていた。
言葉の一つ一つが震えていて、
あ、やっぱり俺はこいつには叶わないんだなと実感してしまった。
こんな状況だというのに、そんなことを考えてしまっている自分がいた。
ガラガラガラガラガラガラ
しばらくすると、目の前の大きな扉が開き、マスクをした医者らしき男性が出てきた。
お母さんはすぐさま立ち上がり、先生に問いかけた。
先生は顔をしたに向け、首を横に振った。
お母さんはその場に崩れ落ち、手に顔を埋めてしまった。
俺は信じられなかった。
あなたが刺された時と同じように頭が真っ白になった。
るぅとのいつものイケメン面は真っ青で、目には溢れんばかりの涙をためて、
ガクガク震えていた。
タッタッ
るぅとは走り去った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。