第3話

俺が生まれ変わる前。3
263
2020/08/23 15:01
午後6時。夏ならまだ明るい時間に部活を終えたあなたが帰ってくる。
今井 _隆兜@るぅと_
今井 隆兜るぅと
じゃ、また
あなた

うん、ばいばーい

ガチャ
あなた

ただいま~!!!

バタバタバタバタバタ
あなた

莉犬~!!!

_莉犬@(前世の姿)_
莉犬(前世の姿)
ワン!
あなた

よーしよしよし~

お母さん
お母さん
もー帰ってきてからいきなりバタバタうるさいわよ?
あなた

はーいごめんなさーい。

あなた

じゃあ莉犬くん!お散歩行こっか!

あなたは帰ってきたら、すぐに俺と散歩に行く。
あなたとの散歩は大好きだ。
なぜならあなたと二人きりでいられるから。
散歩の最中、あなたは俺に話しかけながら楽しそうに歩く。
学校のこと、授業の感じ、クラスメイトがあーだこーだ
誰とかが誰とかと付き合っている。誰とかが誰とかのことが好きだ。
あなたは、恋愛の話が好きだ。
勿論他のことも話す。
部活がこうだーとか、顧問の先生が何々で、どこどこの高校は全国大会にも出ていてすごい。あそこの高校の先輩はこうこうなのに、どうして自分の学校の先輩はこんなんなのか、
俺は言葉は話せないから、相づちや、鳴き声で、一生懸命聞く。
本当はもっと君と話して、笑い合ったりしたいのに。
中でもあなたの話でよく出てくるのが、隣の家のあいつ、るぅとだ。
あなた

.ww..それで、るぅちゃんがねwww?

あなたがるぅとのことを話すときは、他のどの話よりも楽しそうに話す。
きっとあなたはるぅとのことが好きなんだろう。
なんだろうな...この悔しいような、悲しいような、でも応援したくなる気持ちは。
あなた

あ!莉犬!四葉のクローバー見つけた!

いつもの散歩道。
シロツメクサやたんぽぽ、クローバーなどがたくさんのある公園で、一休みする。
あなたが小学生だった頃は何時間もここで遊んだり、あなたが花の冠を作ってくれたりした。
そんな思い出に浸っていると、突然









グサッ





あなた

うッッ!げほげほっ

_莉犬@(前世の姿)_
莉犬(前世の姿)
ッ?!
人々
おいおい!なんだよあれ!
人々
誰か人が刺されたぞ!
あなた

莉犬.....ゲホッ..

人々
女の子だ!女の子が刺された!
人々
え?なに?通り魔?
あなたは、包丁を背中に刺されて、服に血がにじんでいた。
俺はその瞬間、頭が真っ白になった。
嘘だ、そんなこと、あるはずがない。きっと俺は幻覚を見ているだけなんだ。
しかし、現実はそう甘くはなく、倒れているあなたからはどんどんと血が出てくる。
俺はあなたのすがり付くことしかできず、必死に吠えているだけだった。
でも、俺がこんなことをしたところで、何も変わらない。
俺は自分の無力さを改めて実感した。
俺は犬だ。
何もできない。
あなたにとってもただのペットにすぎない。















そして俺もとうとう、その場で気絶してしまった。

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