教室に入ると、櫻井さんが謝ってきた。
大きな声で謝ってくるもんだから、視線が痛い。
キラキラしている櫻井さんには
わたしの苦しみなんかわからないだろう。
またキラキラしたハイテンションな人が
話しかけてくる。
女子からの視線が怖いから無視した。
櫻井さんがイケメンだから照れたとか
そんなわけないだろ。
たしかに櫻井さんは顔立ちが整ってて
これで頭も良いらしいしモテるんだとは思う。
でもわたしはキラキラした人が苦手。
彼らに話しかけられることで
またいじめられてしまうのではないか。
この不安がいつだって頭をよぎる。
わたしが席に着くと後ろの席の人が話しかけてきた。
その人は眠い目をこすりながら
わたしのセーラー服の襟を直してくれた。
屋上で風に吹かれて、折れたのだろう。
さっきは機嫌が悪そうだったその人は
今は笑いながら話しかけてくる。
ふいな笑顔に緊張しつつ答えた。
さっきまで笑顔だったその人は
急に笑顔が消え、素っ気なくなった。
そっちから話しかけてきたくせに。
そう思いながら前を向いた。