「あ、」
目の前であなたがサンダルを追いかけて
斜面をゆっくりおりていく
翔太「あなた、危ないよ!」
声は届かない
あなたが足を滑らせたとき
どぽんと水しぶきがたった
急いでそこに行く
でも、あなたはスイミングスクールに通ってて
沢山泳げるって言ってた
だから手を引けば助かると思ってた
「たすけ、、しょ、」
目の前で見たのは
浮かんできたり沈んだりするあなた
バシャバシャともがき苦しんでいた
翔太「今助けるから!」
この川はそんなに深くないって知ってた
だから助けられる自信があったんだ
なのにその日はおかしかった
あなたを抱き寄せて空気を吸わせてやると
急に足が地面から離れた
それでもあなただけは離すもんかと
必死に必死に水の中で手を掴んだ
次第に目の前が暗くなって
手の力が抜けていった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。