第6話

どっちが本体なんだよ〈ゴールドシップ〉
280
2022/10/24 13:12
「学園中くまなく探せ! 見つけ次第報告しろ!」

「はい!」
ざわざわ……
「なになに? 生徒会の人たち何してるの?」

「なんかゴールドシップさん探してるんだって」

「またゴルシさん? 今度は何やらかしたの?」

「食堂の冷蔵庫の中に大量のイカ詰めてたらしいよ」

「え、何それ……」

「……まぁでもゴルシさんだしね」

「……それもそっか」
そんな会話をすぐ傍で聞く

割と近くでも気づかれないもんなんだな〜、とか考えながら、アタシのことを探して走り回る生徒会のヤツらのことを観察する

え、なんでイカ詰めたのか? そんなの学食をイカ焼きで埋めつくそうと思ったからに決まってんだろ!
「え、待って……あの人めちゃくちゃスタイルよくね……?」

「は? 顔面偏差値たっか……! あれ、でもあんな子、うちの学園にいたっけ?」
せっかくだしファンサでもしてやるか。そう思って、向かい側にいるウマ娘たちに手を振ってみた
「きゃぁぁ……今私たちに手振ったよね!? ね!?」

「ひ……泣きそう……」
なぜこれだけ見られても、アタシがゴールドシップだとバレないのか。おそらく頭飾りのせいだろう

なんとなーく、「これ外したらバレないんじゃね?」と思いついて頭飾りを外してみたらこれだ

きっとアタシ以外のヤツらには、スタイル抜群のミステリアスな白髪美少女に見えてるんだろう

……いやアタシは元からスタイル抜群の白髪美少女だろうが!!
結局昼休みの間、学園中をウロウロして、生徒会の連中の前を何度も通ったりしてみたが、アタシがゴールドシップだと気づくヤツは1人もいなかった

……これマジで頭飾りがアタシの本体説あるな…………

特にやることもねーし帰るか、ずっと歩き回るだけの単純作業がんばったなゴルシちゃん。そう思い始めたとき
「見つけた!」
背後から聞こえるいつもの声
「もう、全然隠れてないじゃん。逆に探し疲れたんだけど……」
うしろを振り向くと、見慣れたトレーナーの姿があった
「はは、わりーわりー!」

「何がわりーよ、思ってないくせに」

「ほら、生徒会室行くよ。ゴルシ」

「えーやだめんどくさーい」

「ならイカなんて詰めなきゃ良かったでしょうが……。なんであんなことしたの? 調理員さんにも他の子たちにも、すごく迷惑かけてるんだから……」

「だってー! イカジャックしてみたかったんだよー!!」

「イカジャックって何よ」
いつもと変わらないこの会話。トレーナーだけだが、ちゃんと気づいてくれたことが素直に嬉しかった
……なんか安心した

「え? なんて? 聞こえなかった」

「ん? なんも言ってねーけど」

「え、あ、そう……」
……アタシちょっと寂しかったんだぜ? このまま誰にも気づかれなかったらどうしよーって

でも、お前が気づいてくれてよかったわ。ありがとな、見つけてくれて

プリ小説オーディオドラマ