「___もしかしたら、あれはもっと早く殺されていたのかもね」
「ハッ、校舎裏などで殺されて、ここに運ばれてきたということか.......。しかしそれはどうやって調べられる?」
「先輩。うちの学園には彼がいるじゃないですか」
私はにやあっと笑う。
「ハッ、裏庭の彼か........ぶぎゃっ」
突然虎杖くんは起き上がった為、部長に頭突きする形となる。
「伏黒が聞いてくるって!!」
「は?___いや、その前に死体は動くなよ。死体は死体らしく死んでおけ。ん、なんだよおい。なんで押してくるんだよ。死体は動かねえだろ?おい桜木。お前も言ってやれよ。おい、なんで2人して押してくるんだよ。つか喋れよ。なんかして欲しいなら言葉にしろよ。」
私と虎杖くんは顔を見合わせる。
「だって死体は喋んないんだろ?」
「だって死体は喋らないんでしょ?」
※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
伏黒くんが宿儺先輩に聞いた結果、特に誰も来なかったらしい。
「じゃあ体育館とかは?」
「いや、バレー部が使ってる___ちくしょう!!本当は今日は演劇部が使う予定だったのによう!!人数少ないからって馬鹿にしてんじゃねえよ!!」
まあ確かに演劇部は両手に収まる人数しかいない。
しかし、バレー部に比べて人気もある。部長のお怒りは最もだ。
「そういえば、被害者はバレー部でしたよね?」
チラリと部長を見ると、うっとつぶやく。
「動機は.....あるんじゃないですか?」
「それを言ったら君もじゃないかい?」
「おいおい、何してんだよこれ」
「き、貴様はっ.....」
部長との間でバチバチと火花が散っていると、1人の男がやってくる。
「お、知ってんの?」
「___知らねえよ」
「バレー部エースだよ。知っとけ。で、何してんの?」
「ハッ、チャラ男に教えることはないわ。」
「おっ、桜木ちゃん。前に言ったこと、考えてくれた?俺、夜になれば、すごいテクニックを持って___」
「無いわ」
男は苦笑いをしてポケットに手を突っ込む。
そもそも彼の名前を知らないので真剣に耳を貸す必要は無い。
「誰あのチャラ男?」
虎杖くんがそっと聞いてくる。
「さあ、分からないの。知らない人がいきなり目の前に現れて謎なことを言い出しているっていうのが現状ね。」
「辛辣だねえ。ところで君ら何してんの?」
「見れば分かるでしょ。いた__彼が死体の振りをしているけど、頭が痛いそうだから膝枕をしているの」
虎杖くんの頬をツーと撫でる。
「桜木の指すべすべしてて気持ちいいね」
男を見て、これみよがしに「ハッ」と言ってやった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!