俺と李桜の過去は酷かった
家族から突き放されて
組織の全員から奴隷扱い
信じた人もみんな裏切る
『騙される方が悪い』
『お前らみたいなガキなんかにな』
口を揃えてみんな言う
父さんもお母さんも姉さんも
『使えない』って
大人は誰も俺たちの味方をしてくれない
みんな裏切るから
誰も信用出来ない
俺の心の支えは李桜だけだった
俺は...李桜の兄なのに
李桜に...苦しい思いを辛い思いをさせてしまってる
こんなの兄失格だよな...
俺達はいつも誰も居ないであろうと言う所に身を潜めていた
次、いつ、何をされるかも分からないこの状況で
俺達は毎日怯えて暮らしていた
そんな俺達を心配そうに見ていた大人...
初めは
って優しくしてくれた
でも違った
みんな自分の利益の為だった
って言いながら殴ってくる
こんなの...おかしい
なんで...なんで俺たちだけ
ただ戦闘に向いてないだけなのに
まだ...さきがあると思うのに...
俺達だって...役に立ちたい
沢山特訓して...
役に立ちたいのに...
なんでそんな事言うの
頭が真っ白でなんも考えたくなかった
もうこんな所に居たくなかった
そんなある日
一瞬戸惑った...
でも...俺もこの地獄から逃げたい
そうお互いに言って
俺達はこの地獄から逃げ出した
バレたら殺される
そう思って
バレないように
ひたすら逃げた
親の元を逃げて
ただただ遠くに逃げた
捕まりたくない
もうなんな日常は嫌だ
俺たちはただひたすらに走った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。