第20話
🎄
your side
自分の部屋に入って1人になったとたん、涙が溢れそうになる。
ひどいことを言ったのは私なのに。
傷つけたのは私なのに。
その時部屋のドアが開いて、お兄ちゃんが入ってきた。
慌ててお兄ちゃんに背を向けて、涙のたまった目をふくいていると、
抱きしめられた。
あれだけ言われても、まだ私を好きでいてくれるお兄ちゃんを抱きしめ返せたらどんなにいいだろう。
本当だよ。辛かったよ。
そう言って泣けたらどんなにいいだろう。
だけど、決めたから。
お兄ちゃんを悪者にしないって決めたから。
力強く私を抱きしめてくれるお兄ちゃんを精一杯の力で突き放した。
.
このときのお兄ちゃんの表情は今でも忘れられない。
ごめんね、お兄ちゃん。
本当に愛してました。