家に着いた。
これが私の母。
お父さんは居なくって、女手1つで私を育ててくれた。
何事も無く1日が終わり。
朝を迎えた。
驚き。悲しみ。
ネガティブな感情が混ざったような顔をして、私の名前を静かに呼んだ。
母の口から、出た言葉。
どんな感じで言ってただろう。
驚きすぎて思い出すことが出来ない。
ただ…
ただ…
智史が、死んだ。
その言葉だけ、頭から離れない。
昨日の帰り道、途中の階段で転んで死んだ。
口から、絞り出した言葉を放って、
私は絶望した。
信じられなかった。
昨日まで居ることが当たり前だった。
なのに今、
手の届かないところに行ってしまった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。