第5話

好き嫌い その1
89
2021/03/28 17:43
 今日はとにかく憂鬱だった。気にしなければいいのだろうけど、気になるととことんダメだ。
 憂鬱な気分のまま歩いていたら自然とあの喫茶店に足を向かわせていた。

 いや定休日かもしれないし

 いや、対した悩みでもないし

 また愚痴りに来たって思われたり?

 あーでも、このもやもや晴らしたいし
浦野秀太
あなたさーん?
参ったなー、コーヒーだけ頼む?

でも、さすがに二回目の来店でまた愚痴とかあり得なくない?
あなた
やっぱり、やめとこ…
浦野秀太
あなたさん!
あなた
うわぁ!なっ…浦野さん?
浦野秀太
ちょっと前から声かけてるんですけど?
あなた
え、あ、そうだったんですか?すみません
 全然気づかなかった。またにこにこと微笑む彼が私の心理を見透かす。
浦野秀太
もやもやする日もあるよね。僕たちに話したらスッキリするかもしれませんよ?
あなた
わかります?
浦野秀太
はい、もちろん。僕たちに話すの嫌ですか?
 かわいく小首をかしげられてNOといえる人がいるんだろうか?
 こうして私はまた喫茶店「OWV」へ行く事になったのだった。

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