ディオside
あれから散々泣いた後、泣き疲れて眠ってしまった俺は姉さんにおぶられて帰っていた。心地の良い揺れで、一瞬目覚めたりしたが、ずっとぼんやりとしていた。
ボーッとしながらも目が覚めた俺は、姉さんの耳に目が行った。流石、姉さんはこんなちょっとした部位ですら整っている。
なんとなく悪戯心で姉さんの耳に息をかけた。姉さんは確実に肩を跳ねさせた。その反応が面白かった。初めて見た反応だったから。
寝ぼけてこう言うことをしているのだと勘違いさせるために、嘘の欠伸をした。きっと姉さんは「ディオの行動がよく分からない」とでも思っているだろう。
姉さんの反応を楽しんでいることがバレたら、もしかしたら嫌われるかもしれないと言う大きな不安があったから、もっと色々したいのをなんとか我慢していた。
だが、俺だって人間だ、結局欲には抗えなかった。気付いたら俺の手は姉さんの耳元の髪を丁寧に退かしていた。
おぶられていたが、なんとか姉さんの耳に顔を近付ける。そしてゆっくりと、舐めた。一瞬聞こえた唾液の音が俺の耳を刺激する。
そう姉さんは声を出した。いつもよりちょっと高い声で。子供ながらに「ああ、感じているんだろうな」と思った。
俺に耳を舐められて感じている姉さんが可愛くてしょうがなくて、俺はまた何回か耳を舐めた。
姉さんは感じているのか腕が震えてきていた。ちょっと耳を舐められただけでこんなんになる姉さんは、可愛い以外の何物でもなかった。
そう言った姉さんの声は少し震えていて。俺はもう大変なことになっていた。下半身が。
全く、姉さんはなんて罪な女なんだろう。同じ学校の女にはこんな気持ちには微塵もならないのに、姉さんはこんなにも俺を狂わせるんだ。
家に帰って、俺の部屋に入った姉さんは、俺をベッドに寝かせるなりすぐに出て行こうとした。俺は瞬時に姉さんの手首を掴んだ。
こう言って引き止めれば、優しい姉さんは自分の部屋に戻れなくなる。そこを利用した。全く俺は嫌な奴だ。
だけど、姉さんに離れて欲しくなかった。一緒が良かった。姉さんは何も言わずにベッドに座った。一体どんな顔をしているのか見たかったが、今は寝たふりをしていなくては。
姉さんは、俺の手を包み込むように握りながら言った。
うっすらと目を開くと、今にも泣き出しそうな姉さんの顔が見えた。泣かないでよ姉さん、姉さんは失格なんかじゃないよ。
姉さんは、俺だけの最高の姉さんだよ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。