結局想いは伝えられなかったんだよね。
でも先輩のことを好きだった時、楽しかったな、幸せだったな、なんて。
またあの時の気持ちが蘇ってくる。胸のどこかにずっと先輩がいたのだと気づいた。
永遠の王子様…なんて勝手に思っていたけど。
先輩の隣には、浴衣をきた可愛い女の人。
だめだ。頭が真っ白になった。
考えてみればあんなにかっこよくて優しい先輩に彼女がいるのなんて当たり前じゃん…。
馬鹿だ、わたし。
2人の優しさが沁みてまた泣けてきて。
楽しいはずの夏祭りなのに、胸が張り裂けそうだった。
先輩の声が、笑顔が、頭から離れない。
でももう、会えないんだろうな。
私の知らないところで、知らない人と、幸せになってるんだろうな。私のことなんてもう忘れちゃうかもしれない。
私は全然、先輩から立ち直れてなかったんだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!