第2話

知らない笑顔
88
2018/07/25 15:54
結局想いは伝えられなかったんだよね。
でも先輩のことを好きだった時、楽しかったな、幸せだったな、なんて。




またあの時の気持ちが蘇ってくる。胸のどこかにずっと先輩がいたのだと気づいた。

永遠の王子様…なんて勝手に思っていたけど。
わたし
うそ…
先輩の隣には、浴衣をきた可愛い女の人。
??
ねぇ、射的したい、行こ?
先輩
おう、いいよ…あれ?あなたちゃん?
わたし
あっ、久しぶりです、へへっ
先輩
おー!久しぶり!
わたし
彼女さん、ですか?可愛いですね。
先輩
あー、うん、そう。ははっ、ありがと!じゃあね!
だめだ。頭が真っ白になった。

考えてみればあんなにかっこよくて優しい先輩に彼女がいるのなんて当たり前じゃん…。


馬鹿だ、わたし。
りな
ちょ、あなた?大丈夫?
あかり
なんとなく分かったよ、1回どっか座ろっか。ほら、落ち着いて?
わたし
ありがとう…ごめん…
うっ…ううっ…
りな
泣きたい時は泣きな!!ほら、ぎゅーー!
2人の優しさが沁みてまた泣けてきて。

楽しいはずの夏祭りなのに、胸が張り裂けそうだった。

先輩の声が、笑顔が、頭から離れない。



でももう、会えないんだろうな。

私の知らないところで、知らない人と、幸せになってるんだろうな。私のことなんてもう忘れちゃうかもしれない。








私は全然、先輩から立ち直れてなかったんだ。

プリ小説オーディオドラマ