第5話

四話 夢世界と主
223
2022/02/18 03:30
加州清光がこよみの国、ヒノト王子の城からカノエ王子の城へと向かっていた頃─────────。
こんのすけ
こんのすけ
出陣に出ていた第一部隊、遠征に出ていた第二、第三、第四部隊と、本丸から離れていた刀剣男子の皆さんが謎の光によって行方をくらまし数日経過しましたが……手掛かりはこの”夢世界”と言う異世界で探すしかないようですね“主様”
ジノ
ジノ
……
こんのすけ
こんのすけ
数日経って主様専用の携帯型時空転移装置が光り出した時は何事かと思いましたが……まさか、異世界へ行くことが出来るようになるとは。本当にこのまま、探しに行かれるのですか?
ジノ
ジノ
……あぁ
こんのすけ
こんのすけ
この世界に昨日やって来て、僕なりに調べたり記録はしてきたつもりですが、まだまだ不明な点が多いです。何が起きるかも分かりませんし……
ジノ
ジノ
……その為に、護衛役として“彼”を連れてきたのだろう。お前がせめて護衛は連れて行けとうるさいから
こんのすけ
こんのすけ
当然です!よく分からない異世界で一人刀剣男子探しなど危険すぎます!主様の身に何かあってはどうするんですか。むしろ、僕を連れて行くとはいえ、最初に一人で行こうだなんてよく思いましたよね
ジノ
ジノ
この戦闘時の姿でなら、身体能力も上がるし、戦えるようになるからな
こんのすけ
こんのすけ
だとしてもです!いくら主様が……!
ジノ
ジノ
一振護衛連れて来たんだから文句を言うな
喋る狐に“主様”と呼ばれた若者は、チラッと背後を見る。後ろには、首に包帯を巻いた目付きの鋭い青年が立っており、何歩か前に出て“主様”と呼ばれる若者の隣に立った。
肥前忠広
肥前忠広
なんだよ。人斬り刀じゃあ不満ってか?とは言え、こんのすけの言い分も分からなくはねぇ。何なら、もう一振念の為に連れて来ても良かったんじゃねぇの?もしくは、“帰り方を知ってる”んなら、その方法を他の刀達に教えて、部隊を組ませて行かせりゃあ良かったろ。わざわざお前自ら探しに行く必要はあるのか
ジノ
ジノ
細かい部分はともかく、主である“僕”なら消えた刀達の気配を感じ取って探すことが出来る。幸いにも、今の所誰かが折れた気配はないから、皆無事なのかもしれないが……数振り気配の薄い者達がいる
肥前忠広
肥前忠広
重傷で折れそうになってるとかは無いのか?出陣に行かせてたんだろ
こんのすけ
こんのすけ
僕は今回、出陣組と共に行動していましたが重傷者はいませんでした。軽傷寄りの中傷の刀ならいましたけど……まさか異世界で何か……?
ジノ
ジノ
さぁな。取り敢えず、本丸にいる者達にはいつも通り過ごしてもらう。今現在も、新たな部隊編成で組まされた刀達は出陣や遠征に行っているし。あとは内番と……僕が留守の間の見張り役と言ったとこかな。何かあれば、本丸には別のこんのすけも居るし、連絡が来るだろう。夜になったら、探索は一時中断し、本丸に帰る。それでいいかい?
青年は「お前が言うなら」とだけ言うが、こんのすけと呼ばれた喋る狐の方に視線を向けて、再び口を開く。
肥前忠広
肥前忠広
つか、こんのすけは出陣組と居たんだろ?何で無事なんだ
こんのすけ
こんのすけ
時間遡行軍との戦闘が始まったので、僕は見つからないように、なるべく離れた場所で隠れていたんです。光に気付いたのは後からで……。辺りが静まり返ったので、様子を見に行ったら時間遡行軍も、皆さんも居なくなっていまして……
肥前忠広
肥前忠広
てことは、下手すりゃあ時間遡行軍もこっちの世界に来てる可能性があるわけ、か。で、帰る方法ってどうやって見つけたんだ?主専用の携帯型時空転移装置で帰れんのか
青年が聞くと、こんのすけは首を横に振り、「残念ながら、本丸から主様の携帯型時空転移装置を使って夢世界へは行けても、逆は無理なようです」と言って俯く。
肥前忠広
肥前忠広
あぁ?じゃあどうやって本丸に帰んだよ
ジノ
ジノ
其れは──────────

プリ小説オーディオドラマ