「あのっ!」
先に口を開いたのは彼女だった
「はい…」
「あっ…あの…
えっと…私、あなたと同じクラスで…」
あー、思い出した
いつもクラスの端にいる
静かな女の子
カースト的に言うと
女バージョンの僕
みたいな立ち位置だったと思う
「はい…××さん…
でしたっけ…」
「はい…そうです…」
「それで…どういったご用件で??」
僕がそう聞くともともと、
うつむいて暗かった、彼女の顔が
もっと、暗くなり
見るからに
落ち着きがなくなった
「それが…えっと…
私!いじめられてるんです!」
流れる沈黙
僕はどう返せばいいのか
混乱していた
そして、僕は瞬時に理解した
僕が学校に通っていたときは
彼女に対するいじめなど
見たことがない
僕はいつも、挙動不審に
回りを見ていたので
気がつかなかったということは
ほぼないだろう
つまり、これは僕が学校に
行かなくなってから
始まったことだと考えるのが妥当だろう
つまり、彼女は僕のかわりになったのだ
暇をもてあました
カースト上位者のオモチャのかわり…
「かわいそうに」としか言いようがない
しかし、なぜ彼女が僕の家に??
その疑問はまだ僕のなかで
明確な答えを出せないままだった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。