第10話

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2019/04/29 14:34
「来てほしい訳じゃないんです!」



彼女はそういった



「来てほしいわけじゃ…



私、いじめられて、



いじめられるって辛くて辛くて…



でも、親は行けって



受験もあるし、私の親は私のこと



なんにも、わかってくれなくて…



この辛さを誰かにぶちまけたくて



でも、友達なんていなくて…



それで…」



彼女は話した 泣きながら



途中何て言ってるのか聞き取れないところも



多少あったが



僕にはその気持ちが痛いほどわかった



「それで、カウンセリングにも



行ってみたんですけど



私の気持ちのなにがわかるの??



って、なんか心の中で勝手に



逆ギレしちゃってて…



私の気持ちがわかる人って誰だろう



とか、考えてるうちに



あなたのことを思い出して



話してみたいなぁって思ってるうちに



いつの間にかここに…」
僕は黙って聞いた



そして、考えていた



自分はなにをすれば正しいのか



思い出してもいた



あの辛い地獄の日々を



「そっか…わかるよ」



やっと、口にできた言葉だった



そして、自分が一番言われたかった



言葉だった



彼女は相変わらず泣いていた



僕はどうしていいか分からず



とりあえずティッシュを渡して



背中を撫でた



「わかるよ…いやだよね…辛いよね…」



そうしてると、彼女が顔をあげ、



驚いた表情で僕をみた



どうしたんだろう 僕何かしたかな?



そう思っていると



彼女がティッシュを一枚とって



僕に渡してきた



「涙ふいてください」



えっ…とっさに自分の手を頬に当ててみると



ほんとだ…



僕は泣いていた



でも、なんで泣いたかわからない



思い出したから?



苦しかったから?



かわいそうだったから?



分からないけど



ただ、僕は泣いていた


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