数学の授業…本当のことを言えば
苦手科目だし、何よりゆっくりやりたくても数学の先生は、早口で言ったと思ったらすぐに黒板に書いた字を消してあたらしい形式を書いていく…
コンッ
何かが机の上に落ちてきた。
それは、ノートの角をちぎったものだった。
小さく畳んであったので
誰かが私に書いたのだろうと思い、畳んである紙を広げて中身を確認した。
そこに書いてあったのは、皆の愚痴なのか?
ただの一言日記のようなものなのか?
コンッ
また、紙が後ろから飛んできた。
後ろの席ということは詩音だろうけど…
とにかく、この事から逃れるためには
書くしか選択はない。
まぁ、書くだけだし早く書いて回しちゃえばいいよね(´▽`)
……詩音、綾、拓海 と来たら次は
哀だろう。アイツはこういう事には興味無さそうだけど、回してみるのもありだと思った。
ついさっき思ったけど、哀の席までは約3メートルぐらいある
(む、ムズい!!)
投げた紙切れは見事、哀の机の上へと
届いた。そこまで投げるのは自信なかったけど、届いた事からホッとして少し力が抜けた。
哀は紙に気づき、開く瞬間を私はジッと見つめた。
だが、哀は顔色ひとつ変えずに
紙に自分のことを書いて、また私の方を見て
綺麗に紙が帰ってきた。
そんなことをしているうちに、予鈴のチャイムがなり、一限が終わる。
哀の書いたことが気になり、周りに集まってきた詩音達と紙を見た。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!