佐々木くんと駅まで走ってから
電車の時間を全然考えていなかったため
走ったおかげで5分前の電車に
間に合うことが出来た。
私達はすいている電車の車両の中で
並んで座れる椅子に腰掛けた。
佐々木くんは、急に何かに
気づいたかのように、急いでスマホを取り出した。
何やらアプリでのイベントがあるみたいで
それにはしってるみたいだ。
(こっちでもはしりだしたよ…(´▽`) )
(モン○トかぁ、友達がやってたなぁ)
彼のスマホの画面を覗き込み
ギョッと目を丸くした。
好きなキャラだったらしく
スーパーレアのキャラについて
ペラペラと、話し始める。
だが、佐々木くんが降りる駅につき
彼は席をたちドアの前へと出る
ドアの前に立ったと思ったら
ソワソワした顔でまたこっちに戻ってきた。
(めっちゃ何かいいたそう…?)
彼は少しおねだりしているように
近寄ってくるので
軽く耳としっぽが見えてくる。
(///か、可愛い……)
丁度電車が駅につき、彼は
軽く手を振り降りていった…
車両の中で1人だけなので少し寂しいと
言う気持ちはあるけれど…
まぁ…仕方ないかぁ
少しため息をつき、椅子にストンと
座った。
座った瞬間、1人の女の子に目がいった。
気づけば彼女も私と同じ制服を着ていて
同じクラスの子だった。
髪は後ろに束ねてあり、いかにも真面目
って感じの子ではあったんだけど…
(なんか、様子がおかしい?)
ソロっと車両の中を静かに歩き
あと1mの近くまできた。
見てみると何やら、その子は何かを
ずっと見ているように見える。
その子が観る方向には畑と田んぼしかなく
珍しいものなどなんて
ひとつもない。
また少し近づいた瞬間…
急な彼女の声に
驚きを隠せず、思わず声をあげてしまった。
声を出した私のほうを向いて
彼女はポカーンとしている。
彼女は、恐らく立っていながら
目を開けたまま、寝ていたらしい
めっちゃ器用…
立ってながら目を開けて寝ると言うことは
そう簡単に出来るもんじゃない。
うちならそのまま寝てたってもいられないと
思うから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!