side:五条
俺の後ろをちょこちょことついてくるこの女。
顔はさっきからずっと下を向いている
そう言った瞬間、ガンッと鈍い音がした
後ろを振り返るとおでこを摩っている。
… コイツ、言ったそばから電柱に頭ぶつけやがった
そう言うと顔を上げる女
だが、その顔は俺の顔色を伺っているようで
どこか怯えていた。
どうして傑や硝子の時は平気で
俺の時はなんでそんなに怯えているんだ ( (
無性に腹が立つ
人の顔色を伺うようにコクリと小さく頷く
俺はそう短く返事をすると
携帯で行きたい店を検索し
マップに沿って歩く。
途中、何人かの女に言い寄られたが無視して
コイツの前をスタスタと歩いた
俺は甘いものが食べたくて
パンケーキ屋に入った。
店員に人数を伝えると2人席へと連れていかれる
俺たちは向き合うように座った
メニュー表を渡し、先に選んでもらう
しかしメニュー表を手に取った彼女は
不思議そうにそれをジッと見つめたまま動かない
まさか、頼み方しらねぇのか?
マジか … 俺の予想が的中した。
コイツ、パンケーキ知らないで生きてきたのか?
俺はメニューを見て悩んだ後、
バナナチョコパンケーキと
いちごホイップパンケーキを一つずつ頼んだ
二つとも俺の食べたいのだ
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。