side:五条
パンケーキが運ばれてきたのに
手をつけようとしない女。
食べ方もしらねぇの?
彼女はそれを聞いて安心したのか
ナイフとフォークを慣れない手つきで握る
俺の手をチラチラ見ながら握り直す。
本当に、何もかも初めてなんだな
だって … ふっ、よだれ垂れてんぞ
ナイフで器用に一口サイズに切り、
フォークで刺して口へと運ぶ。
口に含んだ瞬間、彼女の顔が一気に綻んだ
見たことのない笑顔、
普段の無表情からは想像のできない
幸せそうな顔。
俺はチョコレートの掛かった部分を切り分け
フォークでさす
彼女が開いた口にフォークでパンケーキを入れる
パクリと口を閉じてモグモグと味わう。
その顔もまた、幸せそうだった
そう聞けば彼女は俺のパンケーキと
自分のパンケーキを交互に見て少し悩んだ後
自分のパンケーキ、いちごを指差した
そういうと、彼女は嬉しそうに笑った
俺にはその笑顔が何よりも綺麗に見えて …
次はってことはまた一緒に出かけるということ。
それをわかっていたその言葉を使ったけれと
対して彼女はなにも気に留めておらず、
お辞儀をしてその場をさった
NEXT ⇒
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。