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第1話

言葉足らずの変わりに…
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2018/01/30 14:49
Side あなた


君に会える前の日の18時。


冷蔵庫や引き出しから材料を出して


ボール、まな板、包丁…を出す。


ーーどうか君に伝わりますように。


そんなことを思いながら今日も作り


ラッピングをしてラッピングの角に四つ葉を描く。


ーーどうか君が幸せでい続けられますように


☆.。.:*・°☆.。.:*☆.。.:*
あなた

よし…ラッピングも出来てるし、準備もオッケイ!

毎朝の恒例行事を済ませ


私は玄関を出た。
矢嶋 賢哉
あ…あなた。今から帰りか?
あなた

けけけけ賢哉君!?う、うん。

矢嶋 賢哉
キョドりすぎ(笑)
じゃあな。
そう言うと賢哉君は軽く笑い


走って先に行ってしまった。


小、中学校の頃は私がオロオロすると


「いくぞ!」と言って連れて行ってくれたけど


今は個人個人になっていて


私は賢哉君の背中を見ることが多くなった。


でも部活とかで忙しいから


しょうが無いって自分にいい聞かせ


私も賢哉君の後を追った。
今日はさり気ない想いをお菓子に込め


”キャラメル”を入れた。


キャラメルの意味は”一緒にいると安心する”
って意味だけど


賢哉君は鈍いし


お菓子はいつも賢哉君のバレーシューズの上に名前は書かないでお菓子を置いているから


分かってるのは私だけ。
だから今日も賢哉君にバレないように体育館に行き


シューズの上に置いた。
柳瀬 海
何してんだ…。
あなた

か、海君!?
あ…えと。このことは秘密にしてくるないかな…?

すると海君はいつにも増して怪しい笑い方をした。
柳瀬 海
俺の言う事を聞くならいいぞ。
あなた

え!?……は、はい…。
聞くから言わないでね!秘密だよ!

私の声は体育館の1階に聞こえていたみたいで


男の子が1人見に来た。
矢嶋 賢哉
何してんだよ…お前ら。
あなた

け、賢哉君!何でもないよ!大声だしてごめんね。

私はそう言って海君に目で合図をして背中を押すと


海君はニヤって笑って


バレーシューズを持ち賢哉君と部活に向かった。
残された私の心の中には不安しかなくて


「はぁー」とため息をついた。

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