第3話

SM磁石
615
2022/05/06 11:00
昔。彼女に言われたことがある。
「ドMってなんなんだろうね。」と。

「殴られて興奮ってw意味わかんないでしょ。体の性質として怖くない?そのまま死んじゃったらどうすんの?」
「てか女の方がMっぽいらしいし、男がリードしろよって話〜」

「えぇ、私?///ちょッやめてって。……あなたの貴方の名前(男)からリードしてよねって
……そういう話でしょ!」
………………まぁ、付き合ってからカミングってのが無理あったって所はあったし。
まぁでも。それでも。合わなくても。

好きだから付き合ったんだけど。





とはいえ。その彼女と別れた直後のこの寂しさの中。
美月
………お手。
どうしてこんなことになったんだろう…?
にたりという効果音のつきそうな笑み。見透かすような、小悪魔的な目が……俺を移す。
自分の首を触る………簡単に外せるはずのその首輪を……外そうと足掻くことが出来ない。
あなた
………………はい…
なんで……従ってしまったのかなんて。

自分でもわからない。
ただ。胸にぽっかりと穴が空いたような、寂しさ。


Mじゃだめなの。Mってだけで愛してくれないの。周りと違うの。君が好きな気持ちがあるんじゃだめなの。
この人は…………
美月
………………っ////
俺を。求めてくれてる?


だから、もっと愛して。
Mって言ってもお前らだってMなくせに。攻められたいだけだよ、リードして欲しいだけだよ。それだけでも異常者なの?
お前らだってちんちんをぶち込まれたいくせに。男な瞬間にダメなの?ちんちんをもってたらぶちこまなきゃいけないの?男が抱かれるのは…そういうAVを見るのは、おかしいことですか?
美月
いいこ。……でも…わんでしょ?
あなた
…………わ…///
ここまで来たのは成り行きで。

辛くて寂しくて苦しくて愛して欲しくて。
空っぽで。Mでもいいって…………言って欲しくて。

そんな中急に呼ばれて、何も考えず向かって。急に靴を脱ぐことになって、正座させられて。


でもきっと、こいつは。クラスメイトのこの美月は。俺の事欲してくれてるって。
美月
よく出来たね♡
あなた
……ブフッ
当然なことに脳裏が追いつかなかった。
満たされているような笑みを向けながら…………急に顔が殴られる。

あれ……?痛い……じゃん…え?
あれ…………なんで…
あなた
……………////
なんで。

きもち……ぃ…んですか?
なんで、なんでなんでなんで、俺は普通じゃないの?殴られても気持ちいの?ねぇなんでなんで
美月
あは…っ♡
あなた
い"ッ………だぁ
股間蹴られたのに……タっちゃうの。



「ドMってなんなんだろうね。」

そんなの………。


本人にも分かるわけねぇじゃん。取扱説明書どこだよ。
誰が教えてくれるんだよ、自分の性癖のことなんて。
あなた
(なんも…………わかんねぇじゃん。)
美月
ガンダちしちゃったね…♡
心底楽しそうな、媚びた声が聞こえてくる。彼女がしゃがみ、倒れてる俺の方からでもパンツが見える。


パンツの色には興味はない。中も見たくない。

多分それよりも…………殴られた方が。
多分それよりも…………見られた方が。
美月
…………んっ
彼女が俺のズボンのそこの部分を舐める。付き合ってもいない、関係もよく分からないけれど…………どうでもよかった。
あなた
…………はぁ…っ……ぁ…
例え。
…………っ
好きな人に、元カノに見られても……
あなた
ぁ………はぁ…ッ……はッ
イッた後だからまともな思考ができない、多分目がとろんとしてて……

見せたことの無い表情をしてる。
美月
………………わたしの。
な…ッ…………~~ッ
何か言いたそうにしたまま、この場を去っていく。


そういえば今、わかったことがある。
わたしの。ってのは単純な独占力で、俺は寂しいから愛して欲しかっただけだったけど。

多分美月は俺のこと好きなんかじゃなくて…
美月
……。
似たもの同士なのかもしれない。お互い他に好きな人がいて、否定されあったのかもしれない。

それなら、それがあっているならば。俺たちは…

きっと。

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