乗って少し観覧車が上がった頃。
私と赤沢くんは向かい合わせに座っていた。
横の窓から見ると、
綺麗に赤色と空色が混ざり紫がかる空。
そこに少し照らされる遊園地がこれまた
美しかった。
さて。
言うか…
きっと、ここで私が返事をする。
分かっていたから驚いたんだろうな。
もう今日心に決めた。
心配してくれた青倉と南坂くんや
助けてくれた梨沙にはほんっと
感謝しかない。
赤沢くんは一瞬照れたかと思うと、
隣に座ってきた。
そう言われ横を向くと
ぎゅっと抱き締められた。
すると、待って、え?
私の肩で泣く赤沢くんを手でトントンと背中をたたく。
涙を拭いて顔をあげた赤沢くんは
げ、
うわ、
また言っちゃった…
ま、まぁ泣いててもカッコイイけどね。
赤沢くんの大きな手が私の口を塞ぐ。
赤沢くんは照れながら手を戻す。
なんか気まずく、目をそらすと
赤沢くんの声で目を見ると
赤く、紫色がかる光が差し込み私達を照らした。
そして、赤沢くんの顔が近づいて。
唇を重ねた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!