と、梨沙と話しつつ仕事を進める。
お昼休憩は12時から。今は11時。
『お腹すいた』
とぼやきつつ仕事をし続ける。
名前を呼ばれ振り向くと赤沢さん。
チッ、
あ、気にしないで。
笑顔で私の後ろに立っていた。
あぁおくらぁ?面倒。
赤沢さんは何か言いかけたけど。
知らないよ。
そう、思いながらファイル室へ。
入って左…この棚の近くかな?
うわぁ、資料多っ!
うちの会社ってこんなにあったんだ…?
と、ファイルに手をかけた。
その時だった。
取ろうとしたファイルは横に並んだファイルを巻き込み。
私の頭上に落ちてきた。
マズイ。当たる─────
バサバサッッ
と音が響いたころには、私は。
その場からは離れ、さっきいた入り口のちかくまで移動していた。
あっ、あれ?
私はさっき動かなかったし…瞬間移動?
違うよね…?
そう思った時、体が何かに触っている様な気がした。
反射的に上を向くと
見慣れた顔が。
赤沢さんに手首を引かれて赤沢さんの胸の中にいた。
一気に顔が熱くなるのが分かる。
と、押し退けようとすると。
私だって、乙女なんだし
イケメンに顔覗かれたらそりゃ、ドキドキ位する。
でも、何か少し純粋な心配の顔だった様に見えた。
まぁ、彼は純粋じゃないとウケ良くないですもんね!
私は言われた資料を取り、速攻逃げる。
戻るまでに心と顔を落ち着かせて、
資料を青倉んとこに持っていく。
イスをひいて座ると
はい、流石。
トントンと私の机に置かれた資料はまぁ、いいや。
やる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。