私は悪夢を見た。
両親が亡くなるあの日の悪夢を。
夢だって分かってても、涙は止まらなかった。
その幼い小さな手で、私は自分の涙を拭いながら、運ばれていく両親を見ていた。
泣いて苦しくなる呼吸の中で、必死に両親に言った。
何かが、私の泣きわめく声に混じって聞こえてくる。
はっきりと自分の名が大きく聞こえ、ハッと目を覚ます。
ホッと胸を撫で下ろすかのように、安堵した表情でそこに居る三人はこちらを見ていた。
シヴァさんはそう言って私のベッドに肘をつき、私の目元を拭う。
そう大丈夫と言うように、ヘラっと笑ってみせる。
笑った私に、三人は少し不安そうな顔をしたが、それ以上は何も聞いて来なかった。
そう言ってヒロくんが私の頭を撫でる。
そう言うと、ガチャっと音を立てて、シヴァさんが入ってきた。……いつの間に出ていったの?
そう言って私の勉強机の上にコトンっと置く。
そう言って少しベッドから身を乗り出し、勉強机の上の水をとる。
そして、水を引きよせようとした時、急に手の力が抜けてコップを落としてしまった。
なお兄がこぼれる寸前でコップを受け止めてくれた。
少し呆れたかのように、シヴァさんが言った。
あはは…と苦笑いするヒロくん。
土鍋を開けだすなお兄。
言いかけた時、三人に全否定される。
返事をしても、まだ不貞腐れている私を見て、私の目の前にスプーンを突き出しているヒロくんが言った。
私の変な返事を聞いて、シヴァさんとなお兄が笑う。
……私、毎日の様に甘やかされてません……?
そんな言葉をお粥と一緒に呑み込んだ。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。