七月七日。
学校から帰ると、みんながリビングに居た。
なんかあったっけ…?
なんて思いながら鞄を部屋に置いて戻ってくる。
じゃっぴに挨拶を返すでも無く、後ろの笹の方が気になった。
少し引き気味に聞いてみる。
そう言われて、あはは……っと苦い笑いを返す。
みんながリビングのテーブルにむかっているのは、短冊を書いているからだと今更気付く。
どぬくさんが私に短冊と鉛筆を手渡す。
よく見ると、全員メンバーカラーの短冊だった。
みんなが座っているローテーブルの周りに、私も座って短冊を書こうとする。
でも、いざ何を願いたいと聞かれても何も思い浮かばない。
ローテーブルに突っ伏して、短冊と睨めっこ。
願いがあっても、自分の努力で叶えるものだと、全て排除しきってしまう。
そう言って指差された短冊を見る。
カラフルピーチの目標が書かれていて、じゃっぴらしいな。と笑ってしまった。
「どうせ願うなら、」そう思いながら鉛筆を走らせる。
願い事を短冊に書いて、バッと立ち上がる。
書いたはいいものの、少し恥ずかしい。
みんなが短冊を飾っているすぐ側に、自分の短冊を飾る。
そう言って、シヴァさんは私の頭を撫でながら、今飾った短冊をまじまじと見る。
横に短冊を飾りながら、えとさんが悔しそうに言った。
それから、みんなが短冊を飾り終えて、夕ご飯を食べた。
夕飯を食べ終えて、私は縁側に座った。
小雨の降る、暗い空を眺める。
ローテーブルの食器を片付けようとしていたるなちゃんにそう言われるも、「大丈夫」と返した。
「よいしょっ」と言ってなお兄が私の横に座る。
そう言いながら隣に座るヒロくんを見る。
私がそう言うと、ヒロくんが声を出して笑った。
それからみんなが部屋に戻っても、私はずっと縁側に居た。
足を垂らして手を後ろにつき、笹に掛かっているみんなの短冊を眺める。
それからふと、庭に視線を戻すと、雨が止んでいた。
私は雨の止んだ空を見上げてから、部屋に少し浮かれ気味で戻った。
そう言いながら、リビングのドアを開けた。
「みんなと一緒に居られますように」
そう書かれた短冊の色は、私の好きなミント色。
✄------キリトリ------✄
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。