私が引いた人は_
そう返事をして、シヴァさんは何故か嬉しそうに立ち上がった。
みんなに見送られて、玄関を出る。
✄------シヴァ目線------✄
昼食をとろうと思っていたお店に向かおうと歩いていると、隣を歩いているあなたちゃんが横からひょこっと覗いてきた。
そう返事をして、彼女は目線を戻し、雑談をしながら歩き始めた。
それから、目的のカフェに行き、席に座る。
そう彼女に聞くと、案外早く返事が返ってきた。
早く返ってきた返事に、以前もここに来た事があるのだろうかと少し不安になる。
その後、頼んだセットが運ばれてきて、それを会話を挟みながら食べ始める。
暫くして、セットを食べ終わるとデザートが運ばれて来た。
彼女はそれを幸せそうな顔で食べる。それに対して、俺は考え事をしていた。
考え事と言っても、彼女がどうしたら徹夜する癖を直せるのか。なんて言うこと。
どうすれば直せるだろうか。有耶無耶に言うのではなく、はっきりと禁止令を出せばいいのだろうか。
食事の前もきちんと手を合わせて挨拶をし、喋る時は必ず口に含んでいるものを呑み込む。
そんな育ちの良い彼女なら、禁止令は必ず守るのだろう。
考え事をしている間、無意識に彼女を見つめていたらしく、ジトっとした目で彼女はそう言ってきた。
少し心配そうな顔をして、彼女は聞いてくる。そんな彼女に、安心させるように言う。
隠されたことが癪なのか、彼女は不服そうな顔をして頷いた。
その後、カフェから出て、彼女が行きたいと言う雑貨屋に向かった。
雑貨屋に向かう途中、彼女はこんな話をした。
……それ俺じゃん。
動画の視聴者に感じるような嬉しさとは少し違う嬉しさを感じてしまうのは、気の所為だと自分に対して誤魔化す。
楽しそうに話す彼女の話を聞いていると、彼女が言っていた雑貨屋に着く。
それから暫く店内を歩いていると、彼女の足がピタッと止まった。
そして、何かを手に取り、後ろに居る俺の方を振り向いた。
嬉しそうにニコッと微笑んでいる彼女の手には、俺のキャラデザに似ているかえるのぬいぐるみがあった。
そう言って彼女の頭を撫でる。
その後、彼女はそのぬいぐるみをレジまで持って行き、買っていた。結局この雑貨屋で買ったのはこのぬいぐるみだけだったんだが?
今度こそ気の所為で済まされない程、無性に嬉しいと感じてしまったのは、彼女には内緒にしておこう。
✄------キリトリ------✄
閲覧ありがとうございました✿゚❀.(*´▽`*)❀.゚✿
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。