「えらく遅い帰りだな?あなた」
「ごめんってば」
勝手に船抜け出しやがって、と中々にお怒りである。
「キャプテン、お話中すみませんが大変な事態ですよ」
「わかってる」
「やってくれるねぇ、ルフィったら」
ローと話している間に天竜人を殴り、友人であるという人魚を助けたルフィ。
海軍大将が来る!と次々に逃げ出す海賊がいる中、逃げ出さないルーキー達はさすがである。
ビリッ!!!
「!ぅ、お…!」
「な、に…今の…!」
「覇気だ」
騒ぎを沈静する為に、舞台に立った老人が放った覇気は凄まじいものだった。
「すごい…知らないことを知るのって、ゾクゾクするわね…!」
「こんな事態の中、あの覇気を受けてそのセリフか…ククッ、」
ウズウズとしていると、その言葉と共に帰るぞと立ち上がらされる。
しかし、
「あら、キッド」
「よォ…あなた、久々に会って早々勧誘したいとこだが、状況が状況だ。やめとくぜ、だがもののついでだ、トラファルガーも麦わらもお前ら全員助けてやるよ。表の掃除はしといてやるから安心しな!」
相変わらずド派手な外見を見せびらかし、綺麗にローとルフィを煽って出て行った。
キッドの後を追うように出て行く双方の船長を見て、他のクルーと呆れた様にため息をついた。
「はぁ…あなた…」
「わかってるわ…全くしょうがないキャプテンね。
キャプテンが出るまでもないわ、私がキッドより先に全部片付けてあげる。」
「「「全くわかってねェ!!!」」」
突っ込みも虚しく、さっさと外へ出てしまったキャプテンとあなたを追いかけるハートクルー。
「うわぁあ!!主犯の海賊達の船長が出た!!」
「キャプテン・キッドに、死の外科医トラファルガー、麦藁のルフィだ…!!!」
「なんだ、お前ら来たのか」
「テメェ1人に任せておけるか」
「俺がぶっとばーす!!!」
それぞれの船長を見て、クルー達が頭を抱える。
「リペル…!」
「ゴムゴムの…!」
「はい、ストップ」
どうやらキャプテンは気付いていたようで動く気配がなかったが、動いていた2人を止めた。
「あ?なんだよあなた」
「いいから、ここは任せて」
「お前この数だぞ~?大丈夫か?」
大丈夫、大丈夫。と笑いながら、両手を合わせて地面へと触れる。
「退かないと死ぬわよ?」
ザンッ!!と勢いよく地面から飛び出す剣山のような針は土を錬成したものだ。
一応忠告はしたものの避けられなかったものは急所は避けているが貫かれていた。
「よし、これで当分動けないから今のうちに逃げましょ…!」
「うはぁあ!お前すげえなぁ!!」
「さすがだなあなた!」
「うひゃ!?」
ガバッと双方からルフィとキッドに抱きつかれ、遮られた。
「おいコラ、うちのもんに勝手に触るな」
「えー!!お前トラ男のとこなのかーー!?」
「今まで何を聞いてたの!結構前からそういってるでしょーが!!」
「そうかー…よし!トラ男!こいつくれ!!」
「「「何いってんだテメェーーー!!!」」」
文脈のおかしいルフィにハートの船員全員で突っ込みが入る。
「って!だから!!そんなこといってる場合じゃないでしょ!!逃げるわよ!!」
「そうだった!テメェらの馬鹿な茶番に付き合ってる場合じゃなかったぜ!」
喝を入れると漸く動き出す3人の船長と、それぞれの船員。
「新世界で!!」
その言葉を合図に散り散りに逃げた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!