「……」
ギロリギロリと、不機嫌そうな目をしたローが辺りを見渡すが目当ての姿も気配もない。
「キャ、キャプテン…」
「アァ?」
「ひぃい!すみませェエん!!実は…!」
ローの不機嫌に耐え切れず、うっかり目を離した途端あなたがいなくなったと伝える。
「ったくあいつは…まぁいい。どのみち船番は必要だしな。
アシカ、お前残ってあいつが帰ってきたら伝えろ。」
「は、はいっ!
なんて伝えればいいっすか?!」
「1番GR、人間オークション会場に来い。と伝えろ」
「はいっす!お気をつけて!」
悪い顔をして笑ったローは、アシカを残した他の船員を連れシャボンディ諸島へと入っていった。
「俺らはそろそろ船に戻るが、お前はどうする?」
「うーん、私も船に戻るかなぁ…」
あれから暫く話していてわかったが、どうやら麦藁くん一味だったようで、そんな話をしていた時だった。
「おーい!!ゾロ!ウソップ!ロビーン!」
「あァ…?ルフィ?!」
「あれが麦藁くんか…」
空を変な魚で飛ぶ様に現れたのは、麦藁海賊団の船長ルフィくんだった。
「飛び乗れーーーーッ!!!」
「「ハァ!?!」」
凄まじい勢いで飛んでいる魚に飛び乗れと無茶を言う麦藁くんに、ゾロ達も思わず無理だわ!!とツッコんだ。
「いくぞーーー!!」
「だから無理だって…!う、わぁあああ!!?」
「おいっ、ルフィ!」
「ふふっ」
「!わぁ、悪魔の実か。」
話を聞いていないのか、乗れないとわかったのか、ゾロ達の体に腕を巻きつけた。
「エッ!?」
「「あ」」
「あら」
仲間と勘違いされたのか、私にまで巻き付いた腕はシュルシュルとすごい勢いで麦藁くんに戻っていく。
「きゃぁあああっ!!?」
ぼすんっ!
「あ?なんだお前?」
「あ~びっくりした…はじめまして麦藁くん。
あなたです。」
「あなたか!よろしくな!」
「彼女、ハート海賊団よ」
「ヘェ~ハート海賊団か~…
あ…!?じゃあお前敵かっ!?トビウオ乗り込んでんじゃねェよっ!」
「「お前ェが乗せたんだよッッ!!!(怒」」
私が敵だと判断した瞬間にキレた麦藁くんだったが、ゾロとウソップにキレられて、ゴメン!!と謝ってきた。
「あっははは!ほんと面白いね麦藁くんのところは!」
「そうかぁ?
あ、ルフィって呼べよ、あなた。」
「うん、ルフィ。
ちなみにこれどこ向かってるの?」
「そういやそうだったな…」
「どこに向かってんだル「突撃ーーーー!!」聞けよッ!!って…
突撃ィ…!!??」
ウソップがツッコむが、全く聞いていないルフィの声に合わせて、急降下していくトビウオ。
「待って…!?あれって…!!
ヒューマンショップ…!!??」
見えたのは確か数日前にペンギンに見せてもらった資料で確認した、人間オークションの建物。
下手すると天竜人がいる可能性だってある…!!
「止まれルフィーーー!!」
「止まってトビウオちゃん!!」
「無理だ、もう止まらねェ!!!」
にかっ!と笑うルフィを他所にあなたは若干青ざめた。
こんな建物壊して大将呼んでしまったら、確実にやばい。なにがやばいかって、ローになんて言われるか…!
ドカーーーーンッ!!!
「なんだ!?」
「なんだお前!もっとうまく着陸しろよ!!」
「出来るか!!トビウオだぞ!?
おめーがツッコめっていったんだろ!!」
「あいつら…!麦藁の…!」
建物に突っ込んだせいで騒ぎになってしまった中、ルフィがキレる。
「あれ…痛くな…い?」
「ってぇ、無事か?」
痛みを覚悟していたが、着陸してみれば自分を守ってくれたであろうゾロがいた。
「ご、ごめん…ありがと」
「あァ」
「!?ありゃぁ…麦藁んとこのロロノアに、ハートの女じゃねえか…?!」
呑気に会話していたらどうやら海賊たちにバレたようで、ギラリとした目がこちらに向く。
「コラコラクラァア~!!!」
「ひゃっ!?キャス…!?」
「ウチの船長の女に何してくれてんだロロノアー!!」
「ハァ?」
近づいてきたキャスは私を引っ張りゾロから離し、おかげでキャプテンの機嫌最悪だコラー!!と、八つ当たりした。
「ご、ごめんゾロ…私帰るわ」
「おう?」
大声で怒鳴り続けるキャスを今度は私が引っ張ってローの元へと戻った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。