第30話

それは再開への一歩
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2021/07/04 12:26





「っなんで、今ここで…立ちはだかるの…!?



エンヴィー!!」



機械兵器、パシフィスタをなんとか倒し、新世界へと向かう私達の前に立ちはだかったのは、以前見逃すと言って立ち去ったエンヴィーだった。



「だからァ、立ちはだかってるわけじゃないってば~
さっきから言ってんじゃんー、お姫さんを渡してくれれば逃すってー」



「それで俺たちが渡すと思ってんのかこの野郎!!」


「(ただでさえ大将が迫って来て、急いでる時に…!)…目的は…?」



「「「あなた!?」」」



慌てるクルーに聞くだけ、と言えば相当不安なのか疑心の目で見られた。



「お姫さんにとっても嬉しい事だよ?


向こうに帰してあげる。」




「どういうこと…?貴方にとってなんのメリットもないはず、」


疑問しか湧かずそう返せば、酷いなぁ俺はお姫さんが笑ってるだけで幸せだよ?と笑う。



「まぁどっちにしろお姫さんは帰らないといけなくなる。
鋼のおチビさん達が危ないからね。」



「!!なんですって…!?
どういうこと!?戦争は終わったはず…!何があったのよ…!」



「大総統、キング・ブラッドレイの残党が鋼のおチビさんの子供を攫ったんだよ。」



まぁ僕はあいつ好きじゃないし、どーなってもいいんだけど。お姫さんは悲しむよね?と笑うエンヴィー。



「!!そんなっ…!だって、今あの子は…」



「そう、錬金術が使えない。
弟君の体のためにあげちゃったからね

ね?行くでしょう?お姫さん」



「あなた…っ、おまえっ…!」



エンヴィーの言葉を聞いて、尋常じゃなくあわてる私にキャスは行けと言いたいのだろうが、ローの手前言えないのだろう。








「オイ、エンヴィーとか言ったか?
あなたを連れてくのに条件がある。」



「ハァ…?お前はカンケーないだろ。」


「俺の船に乗ってるんだ関係あるに決まってんだろ。俺も連れて行け。出来ないというならあなたは渡さねえ。」



「「「「えええええ!?!キャプテン!?」」」」



有無を言わさないような口調で言い切ったローに、船員達は慌てる。



「キャッ、キャプテン!でも…!」



「お前らなら俺が少しいなくても大丈夫だろ?それでも心配だってんなら先に出航してもいい。必ずあなたと戻る。

さァ、どうすんだ?嫉妬屋」



「お姫さんだけの予定だったのに…まぁいいけど、船長がいないうちに海賊団が壊されてても文句言わないでよね」



エンヴィーの言葉に船員が悲鳴を上げるが、そんなヤワに育ててねーよとローが言う。



「じゃ、転送するからね…!
戻り方は自分達で調べなよ~」



「お前ら後は任せたぞ」



「エンヴィー、みんなに手ェだしたら本気で嫌いになるから」


うるさいなーわかってるよォというふて腐れた声と共に錬成反応が起こり、目の前が消えていく。



「(きっと怒られるんだろうなぁ)」



これから向こうに戻って、叱るであろう人の顔を思い浮かべた。



「(彼氏がいるなんて言ったら更に怒りそうだわ…)」


そんなことを思いながら転送の間、ローの腕の中で目をつぶった。

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