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2021/06/07

第26話

嫉妬の彼と麦藁の君①



コーティングが無事終わるには5日ほどあったが、補給やら何やらであと2日となった時だった。
補給などを終えて私は時間が空き暇になったが、さすがに船長であるローは身体が空かなかった。



「暇だし、ちょっと散策してくるね」



「えっ、キャプテンもまだ戻らないのに!?」


「別に私やローが居なくても何人も戦闘員いるからいいでしょ?」


「そういう問題じゃねえよ!キャプテン帰ってきてお前いなかったら怒られるに決まって…って、だからァアアア!!!」


キャスが怒って振り返るがそこにはすでにあなたの姿はなかった。



「なんだか久々に1人の時間を過ごしてるわ…」



もちろん1人の時間がないわけではないが、男だけの海賊船に乗っている以上、1人の時間が少ないと感じるのも仕方の無いことだ。



パァアア!!



「!?!これって…!(錬成陣…!?)」



突如現れた目の前に現れた錬成陣は、バチバチと音を立てて何かを錬成し始める。
もしかしたら、私が落ちたと思ったあの時もこの錬成陣でこちらに来たのかもしれない。
とりあえず、様子を見ようと近くの木の陰に隠れる。



バチチチチッ!!



「うそ…!!?」


何もないところに突然現れた錬成陣は、なんと向こうで幾度と無く会い、戦ったホムンクルスを生み出した。



「ふぃ~、やっぱ外の空気はおいしいなぁ」



「(エンヴィー!?あいつは…向こうで死んだはずじゃ…!)」



そうエンヴィーはアメストリスで自害したはずだった。



「(なんでここに…!?)」



「ねえ、そう思わない?お姫さん」


「!!?」



"おひめさん"それはあいつが私を呼ぶ時の愛称だ。
考える事に夢中になっていたせいか、真横にエンヴィーが来た事に気付かなかった。






「久しぶりなのに酷いなぁ、」



「あんた、死んだはずじゃ…!」


逃げようとすれば、腕を掴まれて戻された。
逃げることを諦め、質問を問いかければ、わかんないと返ってくる。



「死んだよ、死んだけど…
なんかこっちのお偉いさんに気に入られちゃったみたい。」


「気に入られちゃったみたいって…そんな簡単な…」


「簡単だよ」


だって、愛しのお姫さんに会えただけで俺は満足なんだから。とにっこりと変わらぬ笑顔で笑う。



「コッチには邪魔してくるクソ大佐もおチビさんもいないもんね。
俺だけのお姫さんだよ」


「えー…(まずい、既に彼氏がいるなんて知れたら嫉妬で狂いそうだわ…)
じゃあ、帰り方なんて…」



「しらなーい」


「ですよね」


全く面倒なのが出てきたもんだと、溜息を吐くとカチャリと金属音がした。
突きつけられた剣に顔を上げる。


「え」


「ところでさ、お姫さんから香るこのクサイ臭いはどこのどいつかなァ?」


「っ鼻が良すぎるんじゃないの…!?」


恐らくローの匂いが染み付いてしまったんだろうが、恐ろしい嗅覚である。
犬かよ!?と叫んで振りかぶってきた剣を避ければ、お姫さんの番犬だよ♡と返ってくる。



「あははっ、たのしーなァ!!!」



「楽しく、ないっての!!」


ズバンズバンとすごい勢いで斬撃を飛ばしてくるのを避ける。普通に人がいるところで闘っているが、どうやら海賊が来るのが日常茶飯事のこの島では特に珍しくもないようで、またやってるよ状態である。



「あっはぁ、ゾクゾクしてきちゃう…!!」



「こんの、…変態っ!!」


エンヴィーは死んでいたし、久々の闘いで鈍っているかと思えば、むしろ洗練されているかのように感じる。
もしやそのお偉いさんのおかげだろうか。と思案しながら戦っていると、下に人がいる建物にエンヴィーの斬撃が飛んだのが見えた。


バキンッ!!


「「うおっ!?」」 「なになにっ!?」


「ごめんなさいね、巻き込んじゃった…!
危ないから早く此処から逃げて!」



建物がエンヴィーの斬撃で崩れ、瓦礫が落ちたが全て斬撃で切り崩し、下にいた人達が無事なのを確認して声をかけた。



「…てめぇ、何もんだ」


「…あら?もしかして同業者さんだったかしら?」



「ハート海賊団、科学者のあなたね?

2億 ベリーよ、彼女。」


「にっ、2億ゥ!?ゾロより上ぇ!?」


ギャー!!と叫ぶ長鼻くんを他所に緑くんはヘェ。と笑う。


「ただし、生け捕りした場合はその金額は

3億。」


「ヒェッ…!!!」


「面白れェ」


スラリと刀を引き抜いた緑くんに、ちょっと待ちなさい。と制止をかける。



「今追われてるのよ、巻き込まれたくなかったら逃げなさい!」


「お、おう!ありがとう!逃げる!」


「上等じゃねえか、物のついでだ
助けてやるよ」


「ばか!!お前は何言ってんだ!!逃げるぞ!!」


グイグイと長鼻くんが引っ張るも物ともせず、やる気満々である。



「逃げる必要はないよ。
俺も用事が出来ちゃったから、これ以上は追わないし。」



「エンヴィー…」


話していても攻撃を仕掛けてこなかったのは、用事が出来たからのようだ。



「また会いに来るよ、お姫さん」


「!!(…やっぱり)」


バチバチと音を立てて消えたエンヴィー。
その時に出た錬成陣は、以前に漸く開発した転送陣だった。



「私よりも先に…?それとも?(何れにしても、私よりも慣れている)」



「おい」



「!…何かしら?」



考え込んでいると、緑くんに話しかけられた。



「お前はどうする?」


「そうね、…お散歩の途中だったし、迷惑じゃなければ付いていってもいいかしら?」


「フン、好きにしろ」


「ええ」


私がついて行くと知ると長鼻くんは、え"!!?と顔を青ざめたが、敵意は無いわ。と握手すれば私に対しての恐怖心はあるものの、警戒は解いてくれたようだった。