第22話

おわり
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2019/04/28 09:30
徐々に近づく先輩の足音。


戻らなきゃ。


早くー…


「あ…」


私の横に先輩は現れた。


「あれぇ、あなたじゃん。

何してんの。」


「っ、」


私は泣きながら先輩を見上げた。


「あー…」


ため息混じりにニヤッと笑い、私を見下す遥斗先輩。


こんな先輩…知らない。


「もしかして、今の聞いちゃった?」


コクっと頷く。


「あぁ、そう。

いい子に下駄箱で待ってればよかったのに。

バカだね、お前。」


“お前”


遥斗先輩はもう、私の名前を呼びはしない。


「そんなに睨むなよ。

所詮、騙される方が悪いんだから。」


「そ、んな…っ」


冷たい言葉。


こんなに涙が出てくるのは、私はまだ、先輩を好きで…


今のこの状況が信じられなくて…


「先輩はっ…

告白してくれた時から、遊びのつもりで…?」


「あ?

まぁそうだな。」


っ…


また涙が出そうなのを堪えていると、先輩は優しく笑った。


いつもの笑顔。


「んなわけないでしょ、冗談だよ。

最初は…好きだった。」


「!」


そっか…


先輩も、ちゃんと最初は…


私はもう、それだけ聞ければ十ぶ…


「…とでも言って欲しかったの?」


ニコッと笑った先輩の口から出たその言葉。


「…え?」


なに…


「最初好きだったかどうか聞いてどうしたいワケ?

安心したいの?

ちゃんと恋愛してたんだって?」


…全部言う通り。


何も言い返せない。


「くだらないね。」


やめて。


「だから遊ばれたんだよ。」


もう言わないで。


「誰が…」


その笑顔で…


その優しい顔で言わないで…


私の中の遥斗先輩を崩さないで…


「誰がお前なんか本気にするかよ。」


「っ」


私はその場にへたり込んだ。


下を向いて、静かに涙を流すだけ。


なにも出来ない。


何も言えない。


胸が痛い。


どうしてっ…

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