「んー、うまっ」
40分並んでようやくありつけた。
ここ、まぁまぁ田舎なのに、そんな大行列…
さすが、有名なお店なだけある…
「あなた、なに味それー」
「マンゴー」
「1口飲ませて。」
お互いのタピオカドリンクを交換する。
「あ。」
「ん?」
大和…?
「いや、男子達もタピオカとか飲むんだーと思って。」
女子に人気なタピオカだけど、大和と数人の男子が列に並んでいるのが見えた。
「あー、夜明くん?
あなたの幼なじみの。」
「そ。
…あれ、真美に話したっけ?」
大和のこと。
「いや?
男子の幼なじみがいるってことは聞いてたし、あなたと夜明くんが一緒に帰ってるとこ何回か見た事あるし…
そうかなーって。」
「え、名推理じゃん。」
さすが真美、推理小説好きなだけある。
「羨ましいですねぇ、カッコイイ幼なじみがいて。」
「は、」
羨ましい?
「え、何そのポカーンて顔。
結構人気なんだよ、夜明くん。」
そなの?
初耳なんだけど。
「1年の頃から有名だったし。
私たち、1年の時は夜明くんとクラス違ったけど、私も名前と顔は知ってたよ。」
えー。
驚き。
なんで??
「あなた、全部リアクションが顔に出てるよ…」
あ、やば。
「明るいし、カッコイイし、運動神経いいし。
もうそれだけあれば人気になるでしょー。」
「え、カッコイイ?
それにアイツ、運動神経いいって言ったって、剣道だけだよ?」
ちっちゃい頃から続けてる剣道。
高校でも剣道部、なんでそんなに一筋になれるのか不思議で仕方ない。
私も一緒に始めたけど、長くは続かなかった。
あんな剣道バカの、どこがいいんだろみんな。
「もー、他人から見たら贅沢すぎるよ?
ラブにはならないの?」
「はっ?」
ラブ?
「そ。
なんか1年の間では夜明くんとあなた、噂になってるみたいだよ。」
え、1年生が?
大和は人気だからだとして、私の存在をなんで認知してるんだ…
てか、
「噂って…?」
「付き合ってるって。」
「はっ!?」
あー、やっぱ一緒に帰ったりしてるからか…
「それに、過激派ではあなたが夜明くんに言い寄ったって。」
「はぁ〜?」
なんなのその誤解!!
私を悪者みたいに言うな!
つか、付き合ってることにするな!
「ま、頑張れ、今後なにかされるかもよ。」
「…なんで私がいらない被害受けなきゃいけないのよ…」
まったく…
いい迷惑。
てか、大和も過激派が出来るほど有名に…
…大したもんですね。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!