第8話

バイト帰り
1,340
2019/04/18 13:30
「お疲れ様でーす」


「それじゃ、あとはー…」


夜9時半、バイト終了!


「ごめんね、急遽入ってもらっちゃって…」


タイムカードを押していると、店長に声をかけられた。


「いえ、大丈夫ですよっ」


「はいこれ、あげる〜」


店長からある紙を差し出される。


「え、なんですかこれ。」


「駅前にできたタピオカのお店の割引券!

あなたちゃんにあげるっ」


「え、本当にいいんですか…?」


なんか申し訳ない…


「いーのいーのっ!

今日臨時で入ってもらっちゃったし…

それにほら、若い子はタピオカとか好きでしょ?」


「はいっ、大好きです!」


「よかった!

あ、もしかしてもう行ってきた?」


「あ…はい…でも、また行きたいなーって思ってたのでありがたいです!」


今日マンゴーといちごで迷ったんだよね…


良かった!!


また飲みに行ける!!


お礼を言ってロッカールームで着替える。


はぁーまた明日も…疲れる…


「お疲れ様でしたー」


ホールの人に声をかけて従業員出入口に向かった。


「あ、あなたちゃんおつかれー」


呼ばれて振り返ると、尾白先輩がいた。


「あ、尾白先輩、お疲れ様です。」


「今帰り?」


「はいっ、お先に失礼しますっ」


帰ったらー、ご飯食べてお風呂入って…


あ、明日提出の課題…やんなきゃ…


めんどくさ。


「待って、送ってく。」


「へっ?」


「着替えてくるから待ってて。」


「え、ちょ、あのっ…」


私が何かを言う前に先輩はロッカールームに入っていってしまった。


一人でも帰れるんだけどなー…


「おまたせっ、ごめんね?」


「いやいや!

全然待ってないですっ」


着替えんの早っ


「あなたちゃん帰り道どっち?」


「あ、えと、駅の手前くらいです」


「あー、電車通じゃないんだ?」


先輩は歩きながら言った。


「はいっ

先輩は?」


「俺は2駅行ったとこ。」


「そーなんですね、

あ、じゃあ送ってもらうの駅近くまでで大丈夫ですよっ」


ほんとに、送ってもらうとか慣れないし。


「え、危なくない?」


「何言ってんですかー、この辺治安いいんで大丈夫ですよー」


店員としての心配性はプライベートでも健在だな〜…


尾白先輩はお客さんに対してとっても優しいし、店員に対してだってすごく気を使ってくれる。


「でも、あなたちゃん、いつも8時まででしょ。

それなのに今日9時半までやってたから…怖くない?」


「1時間半なんて、あんまり変わりませんってー」


笑いながら言ってみたけど、そうかー…


確かに、いつもより遅いんだね、帰るの。


どうしよ、不安になってきた。


夕方の真美の話がふと頭をよぎる。


…いや、さすがにこの時間に後輩からなにかされることは無いでしょー…

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