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第18話

ぎゅっ。


コートの上から、先輩は私を抱きしめた。


「な、」


思い切り突き放したかった。


さっき私のことを庇わなかった先輩が、今更何を。


でも、無理だった。


力的にも、


…気持ち的にも。


怒っている。


怒っているのに…


心地良さを感じてしまう自分がいた。


好きだった。


本当に。


どんな感情も、好きという気持ちには勝てなかった。


「ごめん、あなたっ」


ごめんなんて、言うんだったら…


さっき私の味方をしてくれればよかったのに。


なんで今なの。


「由里はな…」


なんでここで由里先輩の話…?


訳が分からない。


でも私は黙っていた。


「俺の幼馴染みで、ずっと一緒にいて…」


私、なんでこんな話聞かされてるの…?


由里先輩とのことなんて、話さないでよ。


「一緒にいすぎて、勘違いしてるんだ、あいつ。」


「え?」


なに…?


どういうこと?


「俺、あいつに告ったことなんかない。

つまり、付き合ってない。」


…え。


「確かに、あいつがなんかよそよそしくなったのは小4の頃。

それに、2人で帰る時はなんか手ぇ繋いできたり。

まぁ、俺は幼なじみだから、由里の考えてること、分かってるつもりだった。

由里は、なにか怖い夢を見たとか、大きい犬が近くにいるとか、そういうことがあると俺の腕にしがみついてたんだ、昔から。

だから、その時もそうなんだろうなって思ってた。

そしたら、手を繋ぐのが毎日になってて…

周りからも色々言われて…」


「じゃ…じゃあなんでっ…

さっきそうやって言わなかったんですか。

由里先輩の言う通りだって、肯定したんですかっ。」


付き合ってないなら、はっきりと言えばよかったのに。


私が本当の彼女だって言ってくれればよかったのに…!


「由里は、気性が超荒いんだ。

怒らせると、手が出る。

だから、もしあそこで俺があなたと付き合ってるなんて言ったら…」


言葉に詰まる遥斗先輩。


上を向くと、切なそうに笑う先輩の顔があった。


「先輩…?」


「…あなたが、殴られるかもって思った…。

そんなの…俺…耐えられねぇよ…」


「せんぱ…」


遥斗先輩は私を一層強く抱き締めた。


先輩は、私のためを思ってあんなこと…


それなのに、私は…


「ごめん…」


「え?」


遥斗先輩は私が謝るより先に謝った。


「俺といたら…これからもこんなことばっかかもしれない。

またあんなふうに呼び出されて、傷つけることになるかもしれない…

だから…」


先輩は手を解いて体を離した。


「別れようか。」