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第23話

救世主
顔を上げることも出来ない。


目の前が真っ暗で地獄に落ちていくような感覚さえした。


「せんぱーい、女子泣かせて何が楽しいんすか?」


先輩でもない、その友達でもない男の子の声が後ろから聞こえた。


この声っ…


どうしてここにっ…?


「あ?

誰だよ。」


先輩はイラついた態度で目を細めた。


「5年2組、夜明大和。

あなたの幼なじみです。」


「あー、コイツの?

へぇ。」


先輩はハッと鼻で笑う。

「そんなつまらない縁、早めに切っといた方がいいよ。

こんな…」


「あなた、立てる?」


先輩が言い終わらない内に、大和は私に手を差し出した。


「おい」


先輩はさらに苛立ちを顕にした。


「無視してんじゃねーよてめぇ!!!」


先輩が大和に向かって拳を上げる。


「危な…!」


大和が!


「甘いな。」


一瞬、大和はフッと口角を上げて先輩の方を向いた。


そして持っていた折り畳み傘で遥斗先輩の横っ腹を思いきり打つ。


「どーぉっ!」


「ぐっ…」


遥斗先輩はよろけて後ろへ倒れた。


お腹を抱えて立ち上がることも出来ない。


あんな1発で…


さ、さすが剣道クラブ1位の腕前…


「大事なヤツを貶す言葉なんて聞きたくねーよ。

アンタにあなたの何が分かるんですか。

ま、分からなくてもいーです。

別に、分かってくれとも言いませんし。」


大和は私の手を引いて立たせてくれた。


「ただ、これ以上あなたに関わらないでくださいね。

次泣かせたら…」


ギロっと大和が遥斗先輩を睨む。


「こんなもんじゃ済まさねーんで。」


そう言い残して大和は、私の手を掴んだまま私たちの教室の方へ足を進めた。


「ったく、もう泣くなって。」


この時の大和がどれだけ頼もしかったか。


大和の言葉がどれだけ嬉しかったか。


私が泣き続けた理由はそこだった。


怖かった。


私はいらない存在だって、裏切られたって知って、もう心はボロボロだった。


でも大和が来てくれた。


安心したの。


すごく。


辛い涙と嬉し涙。


両方が混ざって、私はずっと泣いていた。


大和はそんな私の隣にずっといてくれた。


手を繋いでいてくれた。