ドアの開くガチャンって音。
永瀬くんの声。
近づく足音。
このリビングのドアを開けられるまでに、覚悟を決めなきゃいけない。
そう思っているのと正反対にリビングのドアがガチャと音を立てる。
ぎこちなさすぎる会話を少ししてキッチンに行って、お茶を入れる。
そして私の分のココアも入れる。
そのコップをテーブルに置いて、2人で向き合った。
永瀬くんが先に「あのさ」と口を開きかけたのを「えっ、ちょ、待って」って言って止める。
これは2人に非があるとしても確実に私の悪さの割合が多い。
だから…………自分から言わなきゃいけないと思った。
許してもらえないかもしれない。
別れるかもしれない。って。
すごく怖かったけど、気持ちは伝えられた。
もう、これで終わりならそれでも仕方ない。
だから…………
今、私の一番の気持ちを伝えた。
永瀬くんは少し固まって、それからバッグを漁る。
取り出したのは…………
綺麗なスノードームだった。
永瀬くんはそう言って、スノードー厶を私に渡す。
永瀬くんはニコッと笑って私を抱きしめた。
優しくて暖かいハグだった。
ビクッとした私を面白そうに見て、
「愛しとるんよ」
と永瀬くんは頭コツンをした。
私はこの日から少しだけでも
素直になろうと思った。
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廉はこの日から少しSになり(今までもちょっとSだったけど磨きがかかり)
この後私は「廉」って呼べるまで離して貰えませんでした☆
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。