俺達は疲れるまで笑いあった
いつの間にか、あなたの話し方が硬くなくなっていた。笑って緊張がほぐれたのだろう
そうやって俺とあなたは話していた
寝る時間になり、カーテンをしめお互いベットで寝ていた。
たまたま目が覚め、窓の方に目を移した
…ん?あなたの方からなんか声が…?
体を起こし、耳を澄ますと今度ははっきり聞こえた
泣いてる…?
俺はカーテンを開いた。あなたは俺の方に背を向けてベット上で座り込んで泣いていた
はっとしたように俺の方を振り向くあなた
その目には大粒の涙が溢れていた
焦って俺はあなたに質問する、あなたは頭を横に小さく振ると、少し考えるように目をそらし口を開いた
時が止まったように思えた
信じられなかった、だって今だって、こんなに元気に生活できている
でも、本当だとしてもなんであなたが知ってるんだ…?
そしてまた涙を零し始めるあなた
そんなあなたを見ることしか今の俺には出来なかった
頭が混乱して何も考えられなかった
そこにもう1人の俺がつぶやく
「このまま死ぬだけでいいのか?」
よくない!俺もあなたも死にたくない!
「どう頑張っても、死ぬ未来は変えられないかもしれない。だけど、死ぬ前に出来ることは沢山あるだろ?」
そうだ…出来ることは沢山ある…
だったら…
俺はあなたの手に触れた
涙でいっぱいの顔のあなたの目を見て言った
あなたはコクリと涙いっぱいの顔で頷く
その涙を俺は指で優しく拭った。始めて触れたあなたの肌の温度が俺の指に伝わっていく
この時の俺の声は震えていただろう
遠くに感じていた「死」が急に手の届くところに迫ってくる、そんな感じ
心の奥底の俺が
「あなたとだったら、死んでも後悔はないだろうな」
と囁いている
なんだそれ、そんなのあなたが俺と死ぬために出会ったみたいじゃないか
心の奥底の俺にそっと反論した
あなたはそう言って笑った
なっ、と言いながら俺はあなたに笑いかけた
「うんっ!」と言ったあなたを見て俺は
「おやすみ」と言いながらカーテンを閉めようとした
そう言ったあなたの頭を撫でた
カーテンを閉め、自分のベットに入り、1人赤面する
ああああ!何キザなことしてんだ俺!おかしいだろ!バカ!バカか俺は!
そう頭で叫びながらあなたの涙で濡れた顔を思い出して胸が痛くなった
俺は羽の触りふと考える
どんな死に方するんだろ…苦しくないといいな…
そんな思いと一緒に俺は眠った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。