
第5話
創作奇病の彼女は withシルク
あなた視点
私は創作奇病という奇病になっている
創作奇病とは、嘘しか言えなくなる病気
頭では「好き」と思っていても、口では「嫌い」
と言ってしまう。
だから、私はマスクをして喋らないことにした、そしたら誰も傷つかない。
…ちょっと寂しいけれど
私は水筒を持ってきてシルク君に渡す
私は、バスケ部のマネージャーをしている
楽しそうにバスケをする皆を見るのが楽しかった
私はシルク君が好き
でも、伝えられない。だったら少しでもそばでシルク君を見たい。
マネージャーになった一つの理由でもある
頑張れと表情で伝えると、シルク君はニカッと笑ってわたしの頭を撫でて
「サンキュ」
と言って走っていった
嬉しい…
言葉で伝えられたら言いのに…
部活が終わり、私は一人一人に水筒とタオルを渡す
飲み終わった水筒とタオルを受け取り洗いに走る
一気に運ぶのは出来ないので3回ほどに分けて運ぶ
よいしょっと…やっぱり重いな…
シルク君が残りの二つを軽々と持ち上げる
私は大丈夫だよと笑って頭を横に振る
私はぺこりとお辞儀をすると
シルク君は白い歯がこぼれ落ちそうなぐらいの笑みを向けた
その笑顔に私の胸がキュンとする
シルク君の大きな背中を見つめ
頭の中で「好き」と呟く
やるせない思いがこみ上げてくる
でも、出来ない
伝えたいよ、ちゃんと目を見て私の言葉で、私の声で
シルク君は「じゃ、着替えてくるわ」
と背中を向けたが、ピタリと止まった
急な質問に戸惑う私にシルク君は振り向いて申し訳なさそうに笑った
な、何を?
展開が急すぎて私の頭は「??」だらけだった
シルク君は深呼吸をして私の目を真っ直ぐ見た。真剣な、試合前のときの目
私は笑って「私も好き」と言った
頭では言ってたんだ
でも、口から出たのは
違う、違う!
私はシルク君が好き!大好き!
何で?!なんで伝えられないの!?
私はいつもの活発さが消えたシルク君の背中を見て頭の中で叫んだ
頭の中じゃ抑えられなくて私は泣きながら偽った言葉を言った
もう止めて、これ以上嘘をつかないで
私はうずくまって泣いた
その時、誰が私を抱きしめた
荒れていた私の心が落ち着いてゆく
私はシルク君から離れたくなくて、シルク君の服をぎゅっと掴んだ
ポンポンと優しく頭を撫でてくれるシルク君
お願い、今だけ今だけでいいから、シルク君に本当のことを伝えさせて
絶対ダメだと思いながら私は笑顔で伝えた
言葉が嘘でも伝わるかな、私の気持ち
シルク君は指で涙をぬぐうと、真剣な顔で言った
私はシルク君の頬にそっとキスをした
これが、私の気持ちだよ。と伝えるように
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