次の日、学校は大騒ぎだった。
「見た?!表紙及川さん!!」
「みたみた!しかもその隣のモデル、‘いま恋’の主演やるみずきいおりだったよね?!」
「なにあのショット美男美女すぎる〜」
「羨ましい〜」
あの雑誌、今回私の初単独表紙だったのに…
学校では他人のふりを決め込んでた私だけど、流石にそんな余裕はなかった。私の初の単独表紙を邪魔されたんだから。
周りの男子に、なになに告白〜?と茶化されながらでてきた
2人で屋上に行く。
一般人が表紙を飾ることなんてほぼないのだ。この人が許可をしなければ映ることはない。ということはこの人は表紙になることを知っていたんだ。
明らかにテンションが落ちていく。あーあ、これじゃあ映画の宣伝にもならない。というか噂が…
メガネを取られて、視界が霞む。その中ではっきりの目の前に及川さんの顔が見えた。近すぎる。
思わずタメ口になる。
くすくすと笑いながらメガネを床に置く。
ほっぺたを挟まれて、及川さんの顔が目の前に来る。
自分の生活の中で、女優とモデル以外で私自身を必要とされたことがないから。これは、嬉し涙とかではないから。
ぐいっと引っ張られて抱きしめられる。
なにそれ。そんなこと絶対ない。なのになぜか暖かい及川徹の腕の中。
初めてちゃんと私のことを見てくれた人。
これから、好きになる人
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!