第11話

青葉城西with及川徹
3,416
2019/04/21 10:05
次の日、学校は大騒ぎだった。

「見た?!表紙及川さん!!」
「みたみた!しかもその隣のモデル、‘いま恋’の主演やるみずきいおりだったよね?!」
「なにあのショット美男美女すぎる〜」
「羨ましい〜」
あの雑誌、今回私の初単独表紙だったのに…
水樹伊織
ちょっと及川さんいいですか
及川徹
お、どうしたの
学校では他人のふりを決め込んでた私だけど、流石にそんな余裕はなかった。私の初の単独表紙を邪魔されたんだから。
周りの男子に、なになに告白〜?と茶化されながらでてきた
2人で屋上に行く。
及川徹
で、なに?学校では無関係なんじゃないの?
水樹伊織
ちょっと、あの表紙なんなんですか。
一般人が表紙を飾ることなんてほぼないのだ。この人が許可をしなければ映ることはない。ということはこの人は表紙になることを知っていたんだ。
及川徹
え?これ使っていいかって聞かれたから、いいですよーって答えただけだよ?
水樹伊織
せっかくの、単独表紙だったのに…
及川徹
え、初?だったの?ごめん…なんも知らなくて
水樹伊織
まあ、別にいいですよ知らなかったならしょうがないですよね…
明らかにテンションが落ちていく。あーあ、これじゃあ映画の宣伝にもならない。というか噂が…
及川徹
ね、本当にごめん。今からでも取り消し…
水樹伊織
それは無理です。…まぁ別にあの写真嫌いじゃないですし…
及川徹
え?
水樹伊織
自分の写りが最高だったって話です。
及川徹
ねえ、メガネ外せば?
水樹伊織
は?
及川徹
もう、こっちでも堂々とすればいいんじゃないの?って
水樹伊織
この前言いましたよね?
及川徹
俺、もっとみんなの前で伊織ちゃんと話したい
水樹伊織
なんですかその理由。ふざけないでください。
及川徹
そっちの伊織ちゃんの方が絶対いいよ。
水樹伊織
聞いてますか?…わっ?!
水樹伊織
ちょ、ちょっと返してください!
メガネを取られて、視界が霞む。その中ではっきりの目の前に及川さんの顔が見えた。近すぎる。
及川徹
かーわい
水樹伊織
こっちみんな
思わずタメ口になる。
及川徹
生意気だねー?
くすくすと笑いながらメガネを床に置く。
水樹伊織
ちょ、ちょっと
及川徹
俺、伊織ちゃんのこと好きかも
水樹伊織
いつもの軽口に私を巻き込まないでください
及川徹
本気だよ
水樹伊織
嘘。モデルでちょっと顔がいいからってみんなすぐ態度かえるんだから。
及川徹
そういうことじゃなくて、伊織ちゃんを好きになったの。
水樹伊織
嘘だ。そこらへんの女子となにも変わらないのに
及川徹
さっきから言ってることが矛盾してる。動揺してるの?
水樹伊織
そんなわけない
及川徹
ちゃんとこっち見て
ほっぺたを挟まれて、及川さんの顔が目の前に来る。
及川徹
好きになっちゃったかも。
水樹伊織
気のせいですよ
及川徹
気のせいじゃない
水樹伊織
そんなわけ…
及川徹
なんで、泣いてるの?
自分の生活の中で、女優とモデル以外で私自身を必要とされたことがないから。これは、嬉し涙とかではないから。
水樹伊織
わっ、か、んない…
ぐいっと引っ張られて抱きしめられる。
及川徹
ねえ、それでも俺のこと拒否するの?
及川徹
わからないままでいいよ。絶対伊織ちゃんは俺のこと好きだからね。
水樹伊織
ぜっ、たい…ないですっそんな、こと…
及川徹
ふーん?まあこれから好きになるよ
なにそれ。そんなこと絶対ない。なのになぜか暖かい及川徹の腕の中。
初めてちゃんと私のことを見てくれた人。
これから、好きになる人

プリ小説オーディオドラマ